安倍首相が「ものづくり補助金」を語った件

 平成28年度補正予算の「ものづくり補助金」の申請が始まっています。

 

中小企業や小規模事業者にとっては、比較的使い勝手のよい補助金ですから、多くの事業者が申請をしています。今回の公募の締め切りは来年1月17日です。

 

経営力向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための中小企業・小規模事業者の設備投資等の一部を支援する。というのが目的です。

中小企業・小規模事業者が革新的なサービスの創出・サービス提供プロセスの改善に取り組み、生産性を向上させて収益や雇用・賃金を改善させる計画であること。が条件です。

最大で1件3000万円(一般は1000万円)の補助金が支給されます。想定されている採択数は6000件で予算規模は約800億円になります。

 

この補助金の事務局を務めているのは、全国中小企業団体中央会(中央会)です。その中央会の創立60周年記念大会で安部首相が「ものづくり補助金」について語りました。

 

「ものづくり補助金は、野党時代に当時の政権がなくしてしまったが、自民党・公明党が政権に戻ってただちに復活させた。われわれが中小企業を重視している証左だ」「あえて名前は挙げないが、今は名前を変えているようだが、当時の政権が仕分けによって大切なものづくり補助金をなくしてしまった」「中小企業の力がなければ日本は成長していくことができないという信念を持っていた」と、お得意の民主党政権批判で場を盛り上げたそうです。

 

そこで、ちょっと調べてみると、「ものづくり補助金」は平成21年(2009年)にはじまった制度でした。リーマンショック後の緊急的中小企業支援策という意味です。

予算規模572億円でおこなわれたのですが、当時の景気状態では補助金を出すと言われても設備投資に踏み切る中小企業は少なくて、採択件数が2252件で多額の未消化予算が残ったようです。また、事務局経費などの間接コストが32億円と割合が大きいことも問題視されました。

当時の民主党政権が平成22年度(暦年では平成23年に入ってからです)におこなった事業仕分けで廃止と判断したのも、ちょっとやむを得ない感じがします。また、この事業仕分けの直後に東日本大震災が発災しています。

 

さて、第二次安倍政権が誕生した後、平成25年度に復活した「ものづくり補助金」は毎年少しづつ趣向を変えながら続いています。先の首相の発言から考えれば、今後も続いていくようです。今回の申請期間に間に合わなくても、次回もありそうです。

 

今まで、検討されていなかった会社さんでも公募要領を読んでみてはどうでしょうか?