西鶴の俳諧でのライバル松尾芭蕉の作と伝えられる句です。
実際には芭蕉の作ではないそうです。江戸時代後期の狂歌師であった相模の田原坊という人が、松島の観光案内書に ”松島やさてまつしまや松島や” と詠んだものが、誤って芭蕉作として伝わったものだとか。
いわゆる季語もありませんし、俳句として優れた作品とも思えないという人が大半かも知れません。しかし、現在まで長く人の口の端に昇るのは、やっぱりいい句なんじゃないですかね?
実は、確実に芭蕉がつくった俳句のなかにも似たようなものがあります。
”あぁ春春大いなるかな春と云々” ~ああ春だ春だ。大いなる春といっているが、本当に大いなる春だ~ 季語は春ですね?(笑)
ちなみに、この句には本家がありまして、孔子賛のなかにある ”孔子孔子、大いなるかな孔子” というのが下敷きだそうです。
当時の俳諧は軽妙な軽やかさが特徴です。こう考えると、松島や・・も、実際に芭蕉作だったのかも知れないと思ってしまいます。
西鶴の俳句のなかから軽妙なものをひとつ紹介しますと・・”梅の花荷なひおこせよ植木売”。ご存知、菅原道真の ”東風吹かば匂いおこせよ梅の花主なしとて春を忘れそ” が下敷きです。