水や電気などのインフラでは配送中に意外に多くのロスが発生しています。
電気の送電ロスは5%を少し下回るくらいのレベルです。総合損失では8%を少々超えます。
つまり、発電所から送り出した電力のうちで、使用者のもとに届くのは92%を下回ります。僅か8%というなかれ、これだけの電力を賄うには、福島第一クラスの大型原子力発電所が4つくらい必要です。
今日の注目は上水道のロスです。浄水場から送り出した
水道水のうち、料金を徴収できた割合を有収率と言います。日本の有収率は約90%です。つまり、10%が無効水です。
大雑把にいって、無効水の半分が漏水です。残りの半分が有効に使用されたのに収入に結び付かなかった量で無収水といいます。無収水では、メーターの不感水量が最も多く、他に水道管や下水管の洗浄水とか消防用水や公衆トイレの水など無償の水になります。
日本の有収率90%は世界的に非常に高くなっています。漏水率5%未満は驚異的な数字です。
アメリカは国土が広いので仕方ありませんが、欧州でも日本並みなのはドイツくらいです。先進国の多くでも、有収率は80%台前半ですし、漏水率は10%を超えます。特にロンドンやパリなど古くからの都市の漏水率は非常に高くなっています。水道管敷設から時間がたって、老朽化が進んでいることが原因の一つです。
日本で水道が普及したのはおよそ60年前からです。水道管老朽化の問題は日本でも差し迫っています。
上水道を計量の世界から見れば課題は二つです。
一つは、不感水量です。水道メーターは、水の流れで水車を回して機械的に水量を測っているのです、一定の流量範囲にあるときにしか計測できず、小水量のとき(場合によっては大水量も)に感知しない水量があります。
もう一つは、配水ブロック化への対応です。今までの水道網はあまり計画的に施工されていないので、あまりに広域になりすぎています。このため、漏水が発生してもどこでどのくらい発生したのかがわかりません。また、遮水弁が要所に配置されていないので修繕の際に広域断水が発生します。
そこで、全国で配水ブロック化が進められています。配水ブロック化はブロックごとに適切な水圧調整ができますので、結果として節水や省エネにもなります。
2013年の給水人口10万人以上の自治体(225)で無収水率ランキングです。
山口県では6自治体が該当しますが、可もなく不可もなくといった成績でしょうか?
1位 兵庫県明石市 1.53%
14位 東京都 3.34%
62位 山口市 5.80%
103位 防府市 7.80%
122位 宇部市 8.74%
125位 防府市 8.86%
162位 下関市 11.17%
172位 周南市 11.63%
225位 岩手県奥州市 25.35%