電力料金には固定費(基本料金)と比例費(電力量料金)があります。
省エネ機器を導入したり、こまめにスイッチを切るなど省エネ活動を進めることで、電力消費量は減ったのですが、あまり電気料金が減らない場合があります?
そんなときは、固定費側を見直してみましょう。
中小製造業の場合、電気料金は
「電気料金=基本料金+電力量料金±燃料費調整+再生可能エネルギー発電促進賦課金」
という計算で決まります。
以下、仮に中国電力から高圧(6kV)受電をしている鉄工所の例で考えてみます。
燃料費調整は、3カ月の平均燃料費と基準燃料費との差で加減される金額です。現在は、輸入する燃料の単価が下がっているので減額されます。-2.23¥/kWh
再エネ賦課金は、太陽光発電などの再生可能エネルギーを高い値段で買い取っている分を電気使用者が負担する分です。年に一回変わります。現在は+2.25¥/kWh
電力量料金は、1カ月の電力使用量に対する従量計算です。
中国電力の高圧電力A契約の場合、13.37¥/kWh <夏季を除く>
ここまでが、電力料金の比例費です。全部足すと、13.39¥/kWh
実際は、工場が稼働していなくてもかかる待機電力という固定費があります。これは、休日の電力使用量を確認すると意外に簡単にチェックできます。もし待機電力が多ければ、対策を取りましょう。まぁ、今回は無視します。
ここで問題は、基本料金です。
基本料金は実量制で決まります。
毎正時(何時00分)からの30分間の平均電力量の最大値(これをデマンド値という)で決まります。一度決まると、最低1年間変わりません。1220.40¥/kW
説明しにくいので、中国電力のホームページから・・
11月の鉄工所の例で・・デマンド値 100kW 月間電気使用量 10,000kWh
基本料金 1220.40×100kW=122,400¥
電力量料金 13.39×10000kWh=133,900¥
なんてことがあります。(冷暖房が要らない時期です)
デマンド値は30分の平均ですから、その基本料金で使用できる最大電力量は、
100×48回/日×30日=144,000kWh です。
しかし、鉄工所は1日8時間稼働で日曜日に休みますし、レーザー加工機のように大きな電力を使用する機械が動くと電力量が増えます。
夏場の30分に100kW使ったならば、1年間はその料金は変わりません。
比例費である電力量を下げるのも大切です。地球温暖化対策にもなります。
しかし、基本料金を下げるほうが会社の利益には直結します。デマンド監視をすることで、60kWに下げることができれば(一般に、この可能性は高い)、年間585,600円のコスト削減=純利益の改善になります。
デマンド監視機器の価格は下がっていますので、検討してみるとよいと思います