私のいた工場では30年前から空気漏れを探すことにやっきになっています。
空気は、目に見えず、無味無臭で、害もありません。
工場では機械を動かすために大量の空気を使っています。空気といっても「圧縮空気」ですから、電動のコンプレッサー(空気圧縮機)で空気圧を上げてつくります。要するに、高いお金がかかっています。
空気圧を使って機械を動かすのは、便利で安全ですから、工場の総電気使用量の20%以上が空気圧縮機で使われているようなことも普通です。
工場の中には圧縮空気の配管が縦横に張り巡らされています。
そうすると、配管の継手や機器との接続部のパッキンから空気が漏れたりします。
この空気漏れが意外に発見しにくいのです。空気が漏れると、「シューと音がするからすぐわかる」のは家庭などです。工場はいつもやかましいので、音ではわかりません。
そこで、定修や年末年始など工場を停止したときに、総出で空気漏れをチェックして回ります。このとき、記録をとっておけば、毎年同じようなところで空気漏れが発見されるといったことがあります。その場所には、漏れる原因があるということです。
最近では、ハンディーのリークテスタが使われています。
これだと、稼働中でも空気漏れを容易に検査できるようです。地道な作業ですし、評価されにくい仕事なので、継続していくには工場としての工夫が必要です。
空気漏れの損失コストは膨大です。
0.5Mpa(5㎏/c㎡)の圧縮空気流れる配管に直径1㎜の穴があって1年間気づかなかったら、8000㎥の空気が漏れます。仮に圧縮空気の単価(主に電気代です)を3円/㎥とすれば、1年間に2万4千円の損失になります。圧力が高かったり、穴が大きければ、もっともっと損失が大きくなります。
省エネ診断を受けた工場の実績では、圧縮空気の10~20%が漏れているケースが多いそうです。ある試算によれば、圧縮空気の漏れを排除できれば、日本の産業用電力需要の1%が削減されるとか。
執念深く、空気漏れを捜し歩く保全マンがいることが、工場の収益改善につながります。
さらに、最も効果の高い地球温暖化対策と言えるかもしれません。
『空気漏れを見逃すな!!』