地球は水の惑星と言われますが、大半は海水で真水は僅かです。
大雑把に地球上の水の97.5%が海水ですから、真水は2.5%に過ぎません。その2.5%も全部が使えるわけでなく、南極や北極の氷は使いようがないですし、沼や池の水は浄化コストが膨大になったりします。いろいろな理由で汚染されている水もあって、使いにくいです。
そこで、大量にある海水を淡水化して真水に変えて使おうと、みんな考えました。この分野で、日本は官民挙げて戦略的な開発を進めてきました。その成果として、世界で最も使いやすい、省エネルギーで周辺海域の環境にも悪影響を与えない、メイド・イン・ジャパンの技術が確立されています。中東をはじめ多くの国で日本製のプラントが活躍しています。
地球の人口はまだまだ増えますし、生活レベルが上がるほど水使用量は伸びていきます。今後、水需要が旺盛になってくる低緯度地域は、もともと淡水資源に恵まれていません。海水淡水化プラントの必要性はどんどん高まっていきます。
日本は、水インフラに関わる事業を次世代産業の主役にしたいと考えています。
一方で、食料生産というほからのアプローチがあります。
淡水が少ないので淡水魚の漁獲は少なくて養殖も難しいですが、これは海の魚を代替にできるような流通網を作れば解消です。
農作物の場合の、ウルトラCの解決策が海水で育つ植物の栽培です。具体的には、遺伝子操作によって耐塩性が高い農作物をつくります。全て海水というわけにはいきませんが、栽培の全過程で淡水をほぼ使わないでも育成ができます。既に、海水で育てた稲などもあります。
また、畜産分野はどうしても海水淡水化が必要にように思いますが、飼料が耐塩性植物由来とすれば、かなり淡水の需要が減ります。
日本はプラント技術で名実ともに世界一と思いますが、農業技術も地道に伸びていっています。そのうちに、瀬戸内海に浮かべた筏のうえで、海水で育った稲の稲刈りをしているかもしれません。