帳票・書類は7年間保存する≪9月3日に追記≫

ある事業の事務局をすることになり、「帳票は事業終了後7年間保存」と注意事項が・・

 

開業して2年ですから、今のところ全ての帳票・書類は保存されています。改めて、「7年間保存する」と意識されたので、根拠法などを解説していきます。

 

皆さん、ご存知のように7年間保存というのは法人税法から定められる期限です。法人税が遡って調べられる期間が7年と定められています。※追記

したがって、取引に関する帳簿(仕訳帳・現金出納帳・売掛帳・買掛帳など)や証憑類(見積書・領収書・請求書・契約書・預金通帳・手形控など)は7年間の保存が義務です。

 

 

経理・財務関係で保存年限が最も長いのは、計算書類と付属明細書(貸借対照表・損益計算書など)・会計帳簿(総勘定元帳・各種補助簿など)で10年になります。

株式会社の場合は、株主総会議事録や取締役会議事録なども10年間保存です。

これらの根拠は会社法です。

 

人事・労務関係の帳票や書類の保存期間は原則として3年です。労働基準法が根拠になっている労働者名簿や賃金台帳、雇入れ・退職などの関する書類です。

但し、身元保証書は身元保証に関する法律で5年間保存するなど、例外も少しあります。

 

会社が保存する帳票・書類で特別に保存期間が長いのは労働安全衛生に関するものです。

先ず、石綿(アスベスト)に関係する作業記録や健康診断結果などは、作業に従事しなくなってから40年間保存です。石綿障害予防規則が根拠です。

更に、特化物予防則で特別管理物質に関する記録は30年間保存となっています。また、粉じん(じん肺)関係は7年間保存です。その他は、概ね5年です。

 

製造業の場合、製品の製造・加工・出荷・販売の記録は、製品の引き渡しから20年間保存します。製造物責任法では10年間の保存義務ですが、民法の時効が20年です。

QMS(ISO-9001など)で、記録の保管期限を定めるときは、法が求める期限を下回らないように注意をすることが必要です。

 

これらの帳票や書類の保存の義務は、大企業であっても中小企業であっても変わりはありません。皆様、よく注意してきちんと保存をしておいてください。尚、保存年限は下限ですから、もし可能であれば少し年限を超えて保存しておいても構いません。

 

また、2004年には電子文書法ができましたので、帳票・書類によっては電子文書での保存が認められるものがあります。スキャナーで書類を読み込むのはたいへんですから、中小企業ではあまり使われることがないと思いますが、必要であれば検討してみてください。

 

※追記 法人税の欠損金の繰越期間が延長されました。

  欠損金が生じた事業年度の帳簿書類は10年間の保存が必要です。

 

【注意事項】

 平成23年12月税制改正により青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間が9年とされたことに伴い、平成20年4月1日以後に終了した欠損金の生じた事業年度においては、帳簿書類の保存期間が9年間に延長されました。

  また、平成27年度税制改正により、平成29年4月1日以後に開始する欠損金額の生ずる事業年度においては、帳簿書類の保存期間が10年間に延長されています。