「不確かさ」は計量器の性能を表す

ものづくりでは「不確かさ」という不思議な用語が使われますが、意味を確認しましょう。

 

ものづくりの世界では、一般にはあまり使われない「不」という接頭語がよく出てきます。

 

例えば、「不安全」です。「安全」の対義語は「危険」というのは、小学校で学びます。

しかし、ものづくりでは「不安全」となります。

「安全」とは、全く安らかな状態です。仮に、ボ~っとしていても安んじておられます。

「危険」とは、危なくて険しい状態です。とてもボヤボヤしてはおられません。

 

「不安全」とは、”全く安らかとはいえない状態”のことです。「安全」と「危険」の間の状態です。ものづくりの現場では、日常生活より大量のエネルギーが使われていますから、「安全」ではない「不安全」な状況が身近に起こります。

この対策をするのには、「不安全箇所」や「不安全行動」に注目するのは有効です。

 

 

さて、「不確かさ」ですが、これは何のことでしょうか?

例えば、モノの重さを正確に測定する場合を考えます。

仮に、真の値が100.0000gのモノがあったとします。

計量器で測定すると、100.0010gだったとします。

この真の値と測定値の差は「誤差」です。どんな場合でも、測定値が真の値ではなく、必ず誤差が生じます。

 

したがって、どんな計量でも要求許容幅が設けられています。例えば、真の値と±0.005%の誤差は許容します。といったことです。

上の例では、99.9950~100.0050gの許容幅がありますから、100.0010gという測定値は認められます。

次に、繰り返し測定をおこなったとします。1回目に100.0010gでしたが、次に測定すると100.0014gだったり、100.0008gだったりします。

この測定値のばらつき(実験標準偏差で求めます)を「不確かさ」と言います。

 

つまり、「不確かさ」というとネガティブな印象を与えるのですが、計量機の性能、つまり測定値の「良さ」を表現する値なのです。