昔々、小学校(中学校かも)の国語教科書に「ゼロの発見」という教材がありました。
古来から”何もない”という概念はあって、それを表す記号もありました。数としてのゼロ=演算の対象としてのゼロが発見されたのは、意外に最近で1300~1400年くらい前のインドだとか?証拠として残っているのは、10世紀頃の碑文だそうです。
ところが、ゼロより小さい”負の数”はもっともっと以前から使われていました。
紀元前の中国・老子の時代の資料にも、3から4を引くと-1になるという記述があります。アラビア数字は無いので、実際の表記は黒い棒3本から黒い棒4本を引くと赤い棒1本になるという書き方です。当時から、赤で負の数を表していました。
これは、つまり借金のことです。当時の中国では貨幣が使われていましたが、もしかしたら牛とか穀物とかの貸し借りのことかも知れませんが・・。
ゼロを発見したインドでも、3世紀の碑文に負の数が表れています。ちょっと面白いのは、マイナスを表す記号が「+」だった(プラスを表す記号は無い)ことです。
3から4を引くと「+1」と記述したそうです。
さて、負の数を視覚的に理解するには、数直線を使います。
数直線では、足し算引き算はわかりやすいのですが、説明し難いのは掛け算です。
+3×(-2)=-6
-3×(-2)=+6
となることを、正確に説明することはかなり難しいと思います。
ところが、経営者のなかには、ビジネスのなかで、-3×(-2)=+6 のようなことを簡単に起こせると豪語する人が多くいます。
説明を聞いても、私には理解できません。
早く利益を出したいとか、窮境から直ぐにも抜け出したいとか、考えるのは当然ですが、経営に掛け算はないと考えるほうがよいと思います。
負の数を掛けるというのは、数直線を180°反転させることを意味しますが、そんな夢を見ないで、直線の上を右に右に一歩づつ進んでいくことが肝要ですね。