以前、学歴詐称は許されないけど、学力詐称はどんどんやって欲しいと書きました。
企業実務8月号に「労働法で経歴詐称はどこまで許されるのか」というレポートがあったので、ちょっと参考にします。
要点としては、就業規則に「経歴詐称をしたら懲戒解雇」と規定してあっても、すぐ解雇することはできないということです。
「重要な経歴詐称」の場合に限って解雇できます。その基準は・・『その経歴詐称が発覚していたら雇用しなかったことが、客観的に認められる場合』です。
1.学歴詐称は一般的にアウト!です。
これは、あからさまなウソですから、仕事の出来る・出来ないに関わらずダメですね。
興味深いのは、学歴を低く偽って雇用されていたケースでも懲戒解雇が有効だったこと。
<昭和54年のスーパーバッグ事件>
2.能力・資格の詐称は2パターン。
医師とか弁護士は当然ですし、教員免許や運転免許も持っていないのに持っていると詐称していたら、当然アウトです。
ところが、簿記2級を持っていると申告したのですが持っていなかった。しかし、経理の仕事はきちんとこなしていたような場合は、アウトにならないこともあります。
3.重要な経験の詐称は濃いグレーです。
雇用に当たって、経験を重視することは多いのです。〇〇という工事の経験が△年あるとか、□□というソフトを×年使っていたとかです。これは、採用して仕事をさせると、すぐにバレますし、雇用する側はその経験を買っているのですから、困ります。
4.職歴や前歴の秘匿はケースバイケースです。
例えば風俗業で働いていたことがある、なんてケースですね。若気の至りということもあるでしょうし、隠していてもアウトにならないことが多いかも知れません。
前科についても、既に消滅している前科とか少年時代の非行などの場合は、申告していなくてもアウトにできない場合が多いようです。
いずれにしても、採用の段階で確認しておきたいことは、きちんと確認をすることです。
いったん雇用してからは、仕事ができる人を経歴詐称だけで懲戒解雇するのは、簡単ではありません。最初が肝心です。