最近は「ジニ係数」に変わって、相対的貧困率という指標が使われます。
「相対的貧困率」はよく聞くのですが、どうも定義が曖昧で、都合よく使われているようです。
辞書に書いてあるのは・・
「国民の所得格差を表す指標で年収が全国民の年収の中央値の半分に満たない国民の割合」
なるほど、年収の中央値の半分以下なんですね?
でも、素朴に考えて、年収が多い人は税金や社会保険をたくさん払いますし、年収が低い人には各種の手当や補助がありますから、このまま並べると実態に合いません。
そこで、OECDの定義は・・
「等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯人数の平方根で割って算出)が全人口の中央値の半分未満の世帯員を相対的貧困者」
公的負担と給付を加減算した後の世帯所得を人数の平方根で割るという加工をするわけですね。これで、実態にあってきそうです。
日本の相対的貧困率が、実際にいくらなのか?は最新の値が見当たりません。また、国際比較した信頼できるデータも見当たりません。
選挙のときに話題になっていましたが、何となく、相対的貧困率が高くなっていて、国際的にも高いというイメージだけが定着しているようです。しっかりしたデータ分析に基づいて、議論できるようになればいいのですが・・。
ということで、セ・リーグ各球団の相対的貧困率を計算してみました。
生データは、年棒そのものを並べたものです。「プロ野球人事部」というサイトから引用。
6球団の年棒の中央値は1600万円ですから、800万円未満の人が相対的貧困ということになります。相対的貧困率は21%です。
これでは、高校から新入団して年棒700万円の選手は貧困ということになるので、ちょっと加工したのが右の図です。
先ず、税金を所得税の累進課税分概算で控除(最大50%)して、世帯人数はわからないので25歳以上は2人・30歳以上は3人と年齢5歳刻みで増えると仮定して割り戻ししました。
こうすると、6球団の中央値は880万円になって、相対的貧困率は9%です。
面白いのは、セ・リーグで相対的貧困率の高いのは、読売ジャイアンツと広島東洋カープですね。但し、原因は違いそうです。
ジャイアンツの相対的貧困率が高い理由は、全体に年棒が高くて中央値が他球団より大きいことです。カープは高年齢でも低年棒の選手が引き上げています。
また、今のところは、この2球団がセ・リーグの上位にいるのも興味深いですね。