一酸化二窒素の温室効果は、二酸化炭素の310倍。今、いろいろな面で注目のガスです。
昨日、メタンについて書いたので、今日は一酸化窒素です。
大気中の一酸化窒素濃度は緩やかに上昇を続けています。下のグラフは、気象庁のホームページにあります。右肩上がりで、とても分かりやすいですね。
一酸化二窒素は、亜酸化窒素のことで、医療などの分野では笑気ガスとも言われます。
全身麻酔などに使われるガスですが、近年は「シバガス(SIVA GAS)」という名称で、いわゆる危険ドラッグとして広く流通していました。陶酔効果があるのだそうですが、小瓶に詰めたものが売られていたのだそうです。
昨年、厚労省によって指定薬物に指定されて、規制の対象になっています。
個人的には、一酸化二窒素はフレーム式原子吸光光度計で高温フレームをつくるときに使用するガスとして馴染みがあります。35年前の学生時代のことです。
フレームは炎のことです。バ標準的にはアセチレンの支燃ガスとして空気を使うのですが、このフレームの温度では原子化できない元素があります。そこで、高温にするために空気の代わりに一酸化二窒素を使います。
さて、温室効果ガスとしての一酸化二窒素ですが、濃度が上昇している最大の要因は農業での窒素肥料の使用です。途上国では人口が増加しており、食料生産を増やすことは当然必要ですから、一酸化二窒素濃度の上昇は避けられないと言えます。
二番目の発生源はし尿処理です。浄化槽から発生するのですが、これも人口増加する以上、回避することはできません。
一方で、先進国では人口も増えませんし、窒素肥料の使用も増えていきません。し尿処理も下水道が整備されてきて、一酸化二窒素の排出は減ってきています。
また、一酸化二窒素の発生は、燃焼によってもおこります。特に下水汚泥の焼却などで多く発生しますが、汚泥を高温焼却することで一酸化窒素発生率を約1/4にできるので、日本では既に大半の設備の改修がおこなわれました。