何となく権威がある人が話すと、トンデモナイ!こともホント?!のように感じるものです。
日本大百科によると・・
ポピュリズム:大衆の支持を基盤とする政治運動。
一般庶民の素人感覚を頼りに、政権や特権階級、エリート層、官僚、大地主、大企業などの腐敗や特権を正す政治エネルギーとなることもあるが、一方で人気取りに終始し、大衆の不満や不安をあおる衆愚政治に陥ることもある。
ポピュリズムの特徴は、
(1)理性的な議論よりも情念や感情を重視する
(2)政治不信や既存の社会制度への批判を背景に広がることが多い
(3)集団的熱狂、仮想敵への攻撃、民主主義の否定などに向かいやすい
(4)有権者の関心に応じて主張が変わり一貫性がない
(5)多くの場合一過性の運動である
ポピュリズムという言葉は、イギリスのEU離脱の国民投票で、盛んに使われました。否定的な意味ですね。大きな問題は、少し考えたら理屈に合わないような話であっても、情念や感情で納得させられたら、それが国民・有権者の多数意思になることです。
「イギリスは、一週間に500億円の負担金をEUに支払っている。EU離脱すれば、これを国民保健サービスに回す。」という説明が意思決定に大きな影響があったそうです。
一週間に500億円という言い方がインパクトがありました。掛算すればわかりますが、年間では2兆5000億円です。イギリスの社会保障を含む国家予算の規模は120兆円ですから、その2%相当がEUへの負担金というわけです。
しかも負担金があれば、分配金や補助金もあるのはちょっと考えればわかります。後の報道では、この収支を合わせれば年間5000億円ほどの負担超過だったようです。
また、国民保健サービスに”全額を”回すとは、言っていない。嘘で騙したわけではないそうです。
参院選挙が終わって、都知事選挙に関心が移ってきています。
選挙になると、「各党に聞く」と銘打って各政党の幹部が出演して政策を討論する番組が流れます。どうしても、「一週間に500億円」に近い、情念や感情に訴える話が飛び交います。
討論の中で、瞬時に論理的な誤りを指摘するのは困難ですから、結局のところはトンデモ話がそのまま頭に残ることになります。
また、各政党文書で出したマニフェストや公約にも、まことしやかな数字が並んでいますが、明らかに計算を間違っていたり、説明を取り違えているものがあります。(おそらくは故意に・・)
政党の幹部が直接マニフェストに出てくる数字を計算するわけではないでしょうし、他の政党のマニフェストをチェックするような手間がかかる作業はしないと思います。
18歳に選挙権が拡がりました。若い世代の人が、素直な心で、数字のチェックをしてみると面白いですよ。現実の社会では、理屈に合わない夢みたいなことは、決しておこりません。