人は合理的な判断ができない~最終提案ゲーム~

意思決定は、合理性だけで行われるのではなく「感情」に影響されるということがわかる。

 

【最終提案ゲームのルール】

 あなたに1000円が渡され、それを全く知らない他人(A)と分け合わなくてはならない。あなたが、(A)に渡す金額はいくらでもよい。ゼロでも構わない。

 

ただし(A)には拒否権がある。あなたから提示された金額に納得がいかなければ、受け取りを拒否できる。(A)が拒否権を使った場合は、二人ともお金をもらうことができない。

(A)が承諾したときには、二人ともお金をもらうことができる。

さて、あなたなら相手にいくら渡しますか?

 

【あなたの答えは?】

この最終提案ゲームはとても有名ですから、多くの実験例があります。

最も多いのは、自分に600~700円を残し、相手に300~400円という答えです。

なかには、自分にも相手にも同じ500円という仏様のような答えもあります。

 

おわかりのように、最も合理的な配分は、「自分が999円をとって、相手に1円を渡すこと。」です。

 

自分が1000円とって、相手がゼロなら、(A)は拒否権を使う可能性が高くなります。なぜなら、拒否権を使っても使わなくても(A)にとっては、同じだからです。

しかし1円でももらえるなら、(A)がそれを受け入れるのは合理的な判断です。

 

ところが、(A)は自分が1円なのに、あなたが999円受け取ることができるということに、不満を持つかも知れません。合理的な判断による1円の収入よりも、感情による判断が優先されることがあり得ます。

 

多くの人が、相手の感情による判断を予想して、400円と600円といった分配を提案するわけです。

さて、これが1000万円を分配するのだったら、どうでしょうか? これなら、999万円と1万円の分配にも可能性が少しはありそうです。

 

要するところ、人間には完全に合理的な判断はできないということです。あるいは、合理的な判断をするには、よほどの訓練が必要ということです。