電力需要が増えるという予測は正しいのか?

需要が増加している局面では、投資をすることに不安は少ないものですが・・。

 

最新の経済産業省が出している電力需要予測では、2030年の電力総需要は11,769億kwhであり、これを徹底した省エネの実施で9,808億kwhに抑制するとなっています。

 

2015年から2030年まで、年率1.7%の経済成長を続けるというシミュレーションです。

アベノミクスの成果によって、経済が成長して➡賃金が増えて➡内需が増えて➡地方で電化が進み➡電力需要が増加する。

ちょっと注意することは、少子高齢化が電力需要の減少にはつながらないと想定しています。これは、地方ではガスや灯油を使用している家庭が多いのですが、より安全で利便性の高い電気を使うように変わっていく(電化住宅など)ということです。

 

さて、2015年度の電力総需要は9,485億kwhでした。

過去10年間の推移は、下のグラフです。 

グラフのように、日本の電力総需要が減少を続けていることは明らかです。

しかも、2013年度以降の安倍政権の下では経済は成長をしているはずです。しかし、電力総需要は減少しています。これには、主に二つの要因があります。

 

一つは、経済成長によって、省電力化の技術普及が進んでいることです。例えば、リーマンショック前の2007年製のものと比較した電力消費量は、平均すると、エアコンで16%・冷蔵庫で50%・テレビで60%・照明はLED化で80%の削減になっています。

つまり、経済が成長して➡賃金が増えて➡買い替える➡電力需要が減少する。ということになります。

 

もう一つは、国民の省エネルギー意識の高まりと定着です。日本人は、心から納得して、やると決めたらとこととんやる!やりきる!!国民性を持っています。

東日本大震災と、それに伴う原子力発電所の被災という未曽有の事態を受けて、省エネルギー・とりわけ省電力の必要性が心の芯から見に着きました。この意識は、今後も決して変わらないと思います。

 

エネルギービジネス(とりわけ電力ビジネス)に関わる人は、政府の予測に反して、電力総需要が今後は大きく減少していく可能性を意識しておくことです。

そもそも、経済成長1.7%は達成して欲しいとは思いますが、確実な数字ではありません。

 

現時点では電力供給側の投資は活況というか、加熱しています。

FIT(固定価格買取制度)による再生可能エネルギー設備の建設はまだまだ盛んです。LNGや石炭を利用する火力発電所の建設計画もたくさんあります。

電力自由化という競争では、発電コストの削減を求められるので、より大型の設備を持つことが有利になるという側面もあります。

 

震災後の一時期に流行語だった「ネガワット発電」は、国民(国内事業者)に定着しています。マテリアルリサイクル率が95%になる日本では、もったいないのはエネルギー(電力)です。省エネルギーを進めていきましょう。