江戸時代の三大ベストセラー ・・ 一つはお馴染み「日本永代蔵」

江戸時代の中期には、多くの書籍が出版されていました。三大ベストセラーとは・・??

 

一つは、連載中の井原西鶴「日本永代蔵」です。少なくとも日本最古(もしかすると世界最古かも)の経済小説集です。

自由な経済の下で、ユニークな発想で大胆に且つ繊細に行動していって、金持ちになっていく経営者の生きざまをコミカルに描いています。

 

二つは、滝沢馬琴の「南総里見八犬伝」です。中国の「水滸伝」に想を得たといわれる、大長編伝奇小説です。安房の国、里見家の伏姫と八犬士が怨霊や悪党と戦いながら旅をして成長する物語は壮大なスケールです。

また、私たちの世代では、最初にNHKの人形劇で触れた人も多いと思います。辻村ジュサブローの個性的な人形や、八犬士がそれぞれ持っている、仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の八つの玉などが人気でした。 

 

 

 

ちなみに、現在に至るまで日本における最大のベストセラーはイギリス人J.K.ローリングの「ハリーポッター」シリーズ(日本語翻訳)です。1~7巻までの合計で、約2400万部が発売されています。2位は、太宰治の「人間失格」の1200万部。

「南総里見八犬伝」は「ハリーポッター」と同じファンタジーです。今も昔も、胸躍る物語には人気が集まります。

 

三つは、十辺舎一句の「東海道中膝栗毛」シリーズです。ご存知、弥次郎兵衛と喜多八の二人が繰り広げる「弥次喜多道中記」です。各地でいたずらや失敗を繰り返して、珍妙な騒動をおこしながら、東京からお伊勢参りの旅を続けるお話です。

派生シリーズに「金比羅参詣・・」「宮島参詣・・」「木曽街道・・」とかもあって、各地に足を伸ばしています。旅行ガイドとしても読まれていたようで、旅行ブームのきっかけになったとも言われています。

 

出版・メディアでは、経済・マネー、ファンタジー・ミステリー、旅行の3つは、今も昔も需要が高いジャンルです。江戸のベストセラーは、それぞれ時代を超えて参考になります。

ここでは少々憚られますが、江戸のベストセラーには、当時のポルノ小説もかなりあります。

 

ちなみに、当時は出版技術が進歩していないので、出版本の価格は極めて高価でした。今の感覚で言えば、1冊が5~10万円もしました。そこで、貸本屋が全盛だったのですが、それでも1000円以上したようです。とても大事に読んでいたと思います。

 

テレビも映画もない時代ですが、歌舞伎・義太夫・見世物に興じて、貸本を読んで楽しむ江戸の人たちの暮らしは思いのほか豊かだったようです。