宇部市内にも倒壊とか崩落の過程にある危険な空き家がたくさんあります。
総務省の平成25年の調査から、山口県の数字を並べてみますと次のようになります。
山口県の住宅数 70万6400戸
居住している建物 58万8800戸
空き家 11万4400戸 ・・・ 空き家率 16.2%
用途がない空き家 6万2900戸 ・・・ 放置空き家率 8.9%
空き家率16.2%は全国の都道府県で12位です。空き家のなかには、たまたま借主が退去した賃貸住宅とか、売却用に所有している住宅など用途がある空き家もあります。
問題になっている空き家は、長期に渡って誰も住んでいないとか、取り壊す意思はあるのだが放置されたままになっているような用途がない空き家です。
この放置空き家率8.9%は全国の都道府県で8位です。
屋根の瓦や外壁が剥がれ落ちて、見た目も無残ですし、そもそも前を歩くのも危険な空き家が街のそこかしこにあります。
防災・防犯・公衆衛生・景観等の観点から、一刻も早く除去したいところです。
行政の機能を動かすための手立てを考えていく必要は、空き家問題に限らずありますね。
地方自治体でも空き家対策に関する取り組みはおこなわれていますが、「定住促進・UIJターンの推進」「空き家バンクの設立」といった、明るいテーマが多くなっています。
実際は「危険空き家の除去」こそが市民が求めるものですが、個人の権利が強く、なかなか進められないようです。
昨年施行された国の空き家対策特措法も、行政の強制力はとても弱くて、危険建物の除去を強力には推進できていません。あくまでも個人の資産であるので、「自主的な撤去を促す」という姿勢です。
宇部市や山陽小野田市にも「空き家条例」が出来ていて、少しづつは改善されています。
しかし、条例には、立ち入り調査や緊急措置、罰則などはありません。相談窓口を設けて・住民の意向を受けて、何とかするというくらいです。
改善は進んでも、新たに危険な放置空き家がどんどん増えてくるわけです。たまにニュースで「行政代執行」の様子が流れますが、このような措置がなかなか難しくて、珍しいのでニュースです。少し違いますが、全国のゴミ屋敷にも手が出せないのと同じ理屈です。
中国のような国は極端としても、欧米などの諸外国では行政代執行が、もっと機能しているように思います。最後は、憲法論議にまでなりそう(日本国憲法:第二十九条「財産権は、これを侵してはならない」とある。)ですが、何とかできないものかと思います。