消費増税再延期の報道には驚きです!?

今日の報道で「安倍首相は、消費税率10%への引き上げを再延期する方針を固めた。」そうです。

 

少々、驚いています。安倍首相自らが、昨日のG7サミットでの各国首脳(特にドイツのメルケル首相)の反発が大きくないことを確認して、再延期の方針が固まったということ。

民進党をはじめとして野党各党が再延期を迫っていたところですから、これに応じることで消費増税が参議院議員選挙の争点にならないということが狙いだそうです。

 

また、再延期の理由はアベノミクスの失敗ではなく、リーマンショック級の経済クラッシュが予感されることと、熊本地震の影響が今後も懸念されるということという説明です。

現在が、リーマンショック前に似ているという説明はかなり苦しいですし、熊本地震の影響は少なくとも財政面ではカバーが可能だと考えるのが普通でしょう。つまりは、選挙対策ですね。

 

個人的には、先週の党首討論で民進党の岡田代表が消費増税延期の代替財源として「赤字国債」を当てると言及したことが、逆に消費増税の必要性を国民に理解させると思っていました。(これほど思い切った発言が、驚くほど報道で取り上げられなかったのはナゼ?)

 

国民にとっては「日本は今、消費増税できる状況ではない」というよりも「日本はもう、赤字国債を発行できる状況ではない」のほうが、説得力が何倍もあると思うのですが。

 

あまり、そもそも論を言ってもどうかと思いますが、「政府支出は税収で賄う」というのが本来のかたちです。国民には納税の義務があります。日本国憲法30条です。

税収で政府支出が不足する”緊急”の場合に「赤字国債」を発行するのが道理です。

 

岡田代表はとても正直な方だと思います。他の野党代表の方のように、法人税の増税とか富裕層への増税をすれば消費増税は要らないと言っておけばよかったのです。もちろん、法人税や資産課税で消費税分を賄うのは無理なのですが、とりあえずそう言っておくのが普通です。ただ、本当に真面目な岡田さんには、そうは言えなかったのですね。

この岡田発言が逆に「赤字国債は無茶。消費増税やむなし」につながると思ったのですが・・

 

「民主主義の議会では選挙を通じて財政赤字は拡大する」というのは定説です。

日本は民主主義です。日本国憲法は、選挙で選ばれる代表による間接民主主義を定めています。優れた統治方法ですが、議員は任期中の成果によってのみ選挙に勝てるので、財政負担に対する感受性は薄くなります。

結果として、与野党ともに政府支出を増やし、財政赤字を拡大する方向で一致してしまいます。

 

特に、現在の日本は長期的な金利の低下で、国債利払い負担が極めて軽くなっています。これによって、財政規律を無視して赤字国債に頼ることへの危機感が一層薄れています。

政府の借金である公債残高は今年度末で838兆円(うち赤字国債555兆円)です。この返済には、現在の税収を全て当てたとしても15年以上かかります。

 

よく、日本の場合は大半が内国債(国民が引き受けている)なので、政府の借金は国民の財産という人がいます。しかし、赤字国債の555兆円には裏付けになる資産がありません。また、現在の日本政府のバランスシートは、500兆円ほどの債務超過です。かなり怪しくなっています。

  

赤字国債の無制限発行をどこかで止めることができなければ(=税収を増やさなければ)、近い将来には回避できない危険がやってきます。但し、近い将来と言っても、議員の任期より先のことですし、幹部政治家の多くは引退した後かも知れません。

次世代の子ども達へのつけ回しですが、投票するのも多くはシニア世代ですから・・・。