日本の労働者の49%が要らなくなる?

ちょっと古い話で、昨年12月に野村総研が発表した数字です。最近、またよく耳にします。

 

概要としては・・

1)2012年に労働政策研究・研修機構が公表した「職務構造の研究」で示されたデータが元です。

 

601の職業について分析しています。

2)このデータを用いて、オックスフォード大学のオズボーン先生がイギリスとアメリカでおこなった分析と同じアルゴリズムで計算しました。

 

3)この結果、日本の労働人口の49%が、2030年には技術的には人工知能やロボットなどで代替できるようになる可能性が高いと推計されました。

 

4)イギリスの分析では35%・アメリカの分析でも47%なので、日本の代替可能性が高い労働人口の割合(49%)は大きい。

 

5)代替可能性が高い主な職業としては、事務員・販売員・工員・オペレーター・管理人・運転士・配達人・・などが上げられています。

 

 

「労働人口の49%が人工知能やロボットで代替できる」ということは、ショッキングな話です。しかし、考えようによっては、労働力人口が減少している日本にとって、悪い話ではなさそうです。

日本に適合した、日本でしかできないような人工知能やロボットを開発されていく未来に期待しています。楽しみでもあります。

 

但し、本当に日本の労働者の49%が代替可能かと言うとちょっと違うかも知れません。イギリスやアメリカと日本には少し違いがあると思います。

 

具体的ではないのですが、例えばの話です。

事務員・販売員という職種に分類されるだろう人を思い浮かべてみます。仕事で関わりがある人や、近所のお店の人などです。何となくですが、人工知能やロボットにおいそれとは代替できないように思いませんか?

 

中小企業(あるいは法律上は大企業に分類されるくらいの中堅企業でも)事務員のおばさまは、事務だけをしているのではありません。秘書役であり、人事部長代理であり、心理カウンセラーだったりします。

 

小さなお店の販売員さんも、日本では販売だけをする人のほうが珍しいと思います。「本屋大賞」などでわかるように、日本の販売員さんの商品知識は驚異的なレベルです。店舗レイアウトからPOPやチラシの作成など、販売スキルが欧米のコンサルタントレベルを超えている人がたくさんいます。

 

さて、多くの課題で、オックスフォード大学のアルゴリズムで計算すると・・、など外国の研究がしばしば引用され活用されます。以前もこのブログで書いたのですが、未だに欧米礼賛の思想が残っているようにさえ思います。

 

日本の実情を分析するのですから、東大とか早稲田とか日本の大学がきちんと適合する分析方法を開発したうえで実施してくれないかなぁ、と思います。

・・ もっとも、人工知能やロボットの開発速度がもっと早くて、日本人の70%以上が代替可能なんて結果がでたら??どうしましょう?