平成27年度補正予算に絡んだ補助金申請の時期ですが「CD-R」添付の指定があります。
今となっては、電子的な記録メディアとしてCD-Rはメジャーな存在ではないと思います。
何故だかわからないのですが、補助金申請の多くには「・・・申請書類を○部と、当該書類の電子データを保存した電子媒体(CD-R)1部を提出すること。電子媒体には、応募事業者名を必ず記載してください。。」という指示があります。
30歳未満の人たちは、CD-Rというものを知っているのだろうか?とちょっと思います。
私の世代では、公的機関へ提出する(当時は建築確認申請とかですが・・)電子媒体は最初フロッピーディスクだったのが、いつの間にかCD-Rに替わった印象です。
最近は、CD-R以外にUSBメモリでも構わないという申請も出てきました。
CD-Rは1989年に太陽誘電が販売を開始した、データを書き込みできるCD(コンパクトディスク)です。
ちょっと溯って、CDはソニーとフィリップスが共同開発して1982年に発売されました。それまでのレコード(LP)が、本当にあっという間にCDに置き換わってしまった衝撃を皆さんも覚えているでしょう。
CDは、アルミの薄膜に微小な凹をつくって光の反射の度合いで記録を読み取るという仕組みです。映像を記録したDVD(デジタル・ビデオ・ディスク)も同じ仕組みです。
このCDに記録保存できるものとして開発されたのがCD-Rです。
当時は「絶対にできない」と言われていたCDへの書き込みを、近赤外線吸収色素を使用して簡単に微小凹みを付けるという斬新なアイディアで可能にしたものです。
この開発に成功したのは、浜田恵美子さんという若い女性です。年齢は不詳ですが、1984年に京都大学理学部修士課程を修了して太陽誘電に入社されていますから、今は56歳くらいです。2008年に名古屋工業大学の教授に転身されています。
入社2年目(1985年)の浜田さんが、一人で研究を開始したのが「記録できるCD」だったのです。そして、1988年にCD-Rは発明され特許を取得、1989年には太陽誘電が販売を開始します。
当時のCDやCD-ROMは、既に記録されたものを再生するだけでした。自分で記録できるのは、オーディオカセットやビデオテープのような磁気記録メディアです。
記録できるCDの発明は、世界をひっくり返すほどの衝撃的なことでした。(私が磁気記録材料をつくる会社で働いていたこともありますが・・)
しかも、それを同世代(当時は20歳代)の若い女性が、ほぼ一人で開発したということはビックリ仰天の出来事です。素材から、機械装置、コンテンツまで、多くの世界を変えた大発明でした。
太陽誘電も、昨年記録メディアから撤退されたということです。当時の太陽誘電で記録メディアに関わった人のことなど、ちょっと思い出しました。
時代の流れは、ゆったりしているようで早いなぁと思います。