品質を改善する道は険しく、ズルしたくもなります。
品質保証部門の役割はたいせつですが・・
製品Aの良品率が98%だったときに、品質改善を目的に100万円を投資して設備改善をおこなったとします。その結果、良品率が1%向上して99%に上がりました。
それでは、もう100万円投資して良品率100%になるか?というとこうなりません。
ここでは、良品率ではなく不良率に目を向けます。
不良率2%が、100万円の投資で1%に減ったわけですから、50%の改善です。同じ水準の効果が上がる投資をしたとしても、不良率1%は50%削減されて0.5%(=良品率99.5%)になります。同じ理屈で、更に追加投資していっても良品率99.75%・99.875%・・・と、100%にはなかなか到達しません。
どこの会社でも、良品率100%を目標に掲げるのですが、現実的にはどこかで折り合いをつけるということになります。99.5%でよしとするのか、99.8%なのか・・・。
品質改善の道は険しく、永遠に続きます。
ところが、良品率100%を達成する方法がいくつかあります。
例えば、データを改ざんする方法はすぐ思いつきます。製品の品質がバラツク最大範囲まで規格幅を広げる方法もあるでしょう。不良品が出たら、それは作っていなかったことにして分母から外すなんてのもありそうです。極端な例では、測定をせずにデータを机上で作るようなこともあります。
製品の品質は「製造(あるいは開発)部門」と「顧客(使用者)」の2者の関係だけでは安定しません。ここに「品質保証部門」がきちんと関わって3者になって、はじめて成立します。
たいていの会社には、品質保証部(QAとか言います)があるのですがキチンと機能している会社は少ないと思います。QMS(ISOとか)の事務局仕事がメインだったり、クレームで謝罪に行くことに忙しかったりします。ちょっと、窓際部署的なイメージもあります。
ところが、重大な事故が起こったりすると品質保証部門が責任を取らされることもあります。裁判で有罪になって刑務所に入るのは品質保証部長です。「リコール隠し」とか批判されましたが、そもそもはそんな品質のものを開発して、製造し、販売したのは他の部門です。
経営者とかオーナーが数字にこだわりすぎると、妙な方法が独り歩きすることがあります。
それが明るみになったときに、「なんでそんなことをしたのだ!私は100%にしろとは言っていない。」と声を荒げても仕方ないです。開発部門の部長が勝手にデータを改ざんしたということですが、品質保証部門は廃止されたのでしょうか?
「品質保証部門」が「製造・開発部門」・「経営・営業部門」と鼎立させる仕組みをしっかり構築することは、日本の企業にとって大切だろうと思います。