震災と文化財の再建・保護

 日本財団は甚大な被害を受けた熊本城の再建に30億円を寄付すると発表した。

 

 かなりの話題になっているようです。そして、賛否両論があるようです。

 転載:Twitterでは「すごい決断」「100億円近い金を寄付するのはとても勇気がいる」と評価する声がある一方で「まずは被災者を支援するべきでは」という声もあがっている。

 

 何を守るかという順位付けは、かけがえのなさ(=一度失うと取り戻せない、=他のもので替わりがが効かない)という基準です。

 

 人の命はかけがえのなさで筆頭になります。これは疑いがありません。

 今回の震災では、熊本城のほかに阿蘇神社の建造物が全壊の被害を受けています。文化財を保護して、再建するということの意味は、建物というモノや機能を守るというのとは違うでしょう。熊本城の替わりを、姫路城や松本城がしますというわけにはいきません。

 但し、他にもかけがえのないものはあるわけで、そのなかの順位付けは人によって異なります。

 

 さて、今回の震災での文化財の被害は地震の大きさのわりには小さかったと言えます。これは、被害全般に言えるのですが、大きな火災が起きなかったことです。

 あまり報道されませんが、施設を管理される方々や地域の住民の方々が、とてもきちんとした対応をされた結果です。もっと賞賛されてもよいように思います。

 

 文化財を震災から守るのは、これからも大きなテーマです。日本の文化財はほとんどが木造で、古くなって強度が低下しているケースも多いと思います。強度を上げるには、鉄骨とか樹脂とかで建物に補強を入れることが有効です。しかし、その補強そのものが文化財の価値を下げるということもあります。

 かけがえのなさを基準にして、対応を決めていくことだと思いますが、難しい課題です。