インフラの復旧は、通信⇒電力⇒水道⇒都市ガス の順になります。
今回の熊本地震では、通信に関してはあまり極端な混乱はなかったように思われます。東日本以降も伝送路の多ルート化・ループ化や設備の耐震化は進んでいますし、通信容量も5年間でかなり増加していたのでしょう。携帯基地局のバッテリー容量も大きくなっているようです。
電力は現時点(本震から60時間)のところで、停電1万6000戸です。東日本や阪神淡路では発電所そのものが被災しましたが、熊本地震では火力発電所の緊急停止はあったものの発電所(大半の変電所も)は無傷です。問題は手作業でしか対応できない送電線の復旧ですので、各電力会社からの応援を含めた人海戦術しかないです。また、今回の熊本地震では、これまでの震災で大きな被害がでた”電力復旧後の通電火災”はなかったようです。これは、大したものだと思います。
水道は水源・取水・貯水・浄水・送水・排水・給水と基本は配管(パイプ)で結ばれますから、完全普及には時間がかかります。現時点(本震から60時間)の断水は8万5000戸です。数日・数週間から長いと2~3か月かかります。東日本のときは、せっかく復旧した送水管が一か月後(4.11)の余震でまた壊れるということもありました。これは、手前味噌なのですが、自治体では、プールの水や川の水を飲用可能にする緊急用の浄水装置の設置をしているところも増えています。
ガスは水と同じくパイプですが、漏れても見えないので困ります。インフラのなかでは、復旧が最も困難です。現時点(本震から60時間)のところで、ガス供給停止は10万5000戸で、復旧要員は1500人が活動中だそうです。東日本のときは、東京の下宿の近所に東京ガスに勤めている人がいたのですが、2カ月以上応援に行ったままでした。
これ以外のインフラとしては、道路や鉄道があります。どうしても、当分の間は迂回路を利用するようになります。道路の場合は、修理が終わったところから順次開通させると、思わぬ渋滞が発生するケースもありました。燃料の供給が十分でないと、立ち往生するクルマも出てきます。
また重要なのは建物の評価です。何度もあった揺れで壁の表面は大丈夫でも、内部で梁や柱が損傷しているケースもあります。専門家を派遣して点検をして、危険度を評価することが重要です。
何にせよ、地域の司令塔である行政が的確な判断ができるようなサポートが大切でしょう。