甘利元大臣の辞任を受け、民主党の山井さんが「安倍政権の”終わりの始まり”」と指摘しました。
”終わりの始まり”という文学的な表現は、政界引退後にノーベル文学賞を受賞した英国首相のウィンストン・チャーチルの名言です。
1942年11月のこと、それまでドイツにやられ放題だったイギリスが北アフリカ戦線ではじめてロンメル将軍率いるドイツ軍を破りました。
その連合軍勝利を聞いたチャーチルが「これは終わりではない。終わりの始まりですらない。おそらく、始まりの終わりであろう。」と語りました。
判じ物みたいですが、「これで幕が降りたわけではない。戦いの終章(エピローグ)の始まりですらない。おそらく序章(プロローグ)の終わりであろう。さぁ、これからが本番だ!同志諸君よ、本当の戦いがはじまるんだ!みんな懸命に戦え!!」みたいな感じです。
さて、山井さんは”安倍政権の終章(エピローグ)の始まり”と言われたのですが、もちろん日本そのものが終わっては困るので、次の序章の幕が開かなければなりません。
民主党はそこのところが不安なのです。鳩山さん・菅さんの悪夢が頭をよぎります。
本来は新しい幕をどう開けるのかを語って欲しいところです。甘利大臣の経済財政政策担当を民主党ネクストキャビネットで担当しているのは前原誠司さんです。
前原さんは野田内閣の経済財政政策担当大臣でしたから、甘利さんの前任ですね。外務大臣や国土交通大臣などを歴任されていて、民主党のなかでも有数の実力者です。前原さんから民主党なら経済財政政策をこんな舵取りをするという考えが聞ければよいと思います。
前原さんは、経済成長を最大限に優先する考えですからアベノミクスとは親和性が高いと思います。一方で、安倍政権よりは財政規律を強く意識して、TPPには反対の立場であるところは違います。どちらかと言えば、甘利元大臣より石原新大臣と経済財政運営の考えは近いと思います。
ちなみに、石原大臣の資質を過去の失言を以ってあげつらっていますがナンセンスです。試験で99点とった子を、何年も前に間違った1点でネチネチ追及するようで不愉快です。
私は石原さんの環境大臣としての仕事は素晴らしかったと評価しています。自民党が政権復帰した第二次安倍内閣のときですが、原子力防災を兼務する環境大臣として難しい局面を、とても力強く指揮しました。原発問題と同時並行して、地球温暖化や水俣問題を推進した力量はたいしたものです。
ちなみに、以前のブログに書きましたが、私は民主党の松本龍さんを環境大臣としての仕事で高く評価しています。震災後に復興大臣を兼務した時の問題発言が原因で辞任して、名前を聞くこともないですが、生物多様性条約で名古屋議定書を取りまとめた業績は世界に知られて決して消えません。
もちろんダメなものはダメ!なんでしょうが、イイものはイイ!と評価することも、大切なように思います。