WTI価格が、ついに30ドル台まで下がりました。「逆オイルショック」です。
2011年から2014年前半までは1バレル100ドル前後で安定していた原油価格が急落しています。
一旦は40~50ドルの範囲で安定するかと思われていましたが、今日のロイターでは10ドル台まで下がる可能性もある?なんて恐ろしいことも書いてあります。
モノの価格は、原則として需給関係で決まります。
供給側は、アメリカがシェール革命によって原油を増産しています。現在は日量1050万バレル前後で推移しています。2011年は550万バレル程度でしたので4年間で500万バレルくらい増えています。世界最大の産油国サウジアラビアが1120万バレルくらいで、ロシアが1100万バレルです。この3か国が世界の40%の原油を算出しています。
本来、シェールオイルの採掘はコストが高いと思われていたので、原油価格安でアメリカは減産に動くと思っていました。中東の産油国が原油を増産して価格を下げたの狙いも、アメリカを困らせてシェールオイルの開発を止めたいという考えでした。
ところが、アメリカの原油消費量のほうが2000万バレルもあるので、もともとアメリカ産原油は輸出されることなく自国で消費されます。仮に現在のシェールオイルのコストが50ドルで、輸入すると30ドルだったとしても、身近で確実に入手できてコストがまだ下がる見込みの50ドルのほうが、いつ何が起こるか危うい30ドルよりいいという判断もあるようです。
いずれにせよ、アメリカに輸出できなくなった原油はアジア市場に回ってきます。この原油は中国ががぶ飲みしてくれていたのですが、そこにかげりが見えてきました。さすがに、いつまでも需要が伸び続けるわけではありません。
この結果として、原油価格が暴落しています。
同じように、LNGのほうもアメリカのシェールガス開発による増産で、中東からアメリカへの輸出が減りました。こちらはアジアではなく、パイプラインがあるヨーロッパ市場に回ってきます。
これは、ヨーロッパ市場に輸出していたロシアの首を絞めることになります。ロシアとしては、ヨーロッパ向けの代わりに、中国や韓国、更に日本市場を目指す動きになります。
アメリカがシェール革命というブレークショットを決めたダイナミックな玉突きゲームです。現時点では、アメリカがプレーを続けているのでしょうか? さて、9番ボールはどのプレーヤーが落とすことになるでしょうか?