「共通価値の創造:CSV(created shared value)」で、社会の課題解決に取り組みます。
マイケル・ポーターが提唱したCSVが、世界の経営者の行動を変えています。
日本では、キリンHDが「CSV本部」を組織して、グループをあげてCSVに取り組んでいます。
CSVとは何か?完全に固まった概念ではないと思いますので、およそのことを書きます。
先ずCSVの前段階であるCSR(corporate social responsibility)は、「企業の社会的責任」と言われます。
ミルトン・フリードマンは、「企業にCSRは必要ない。経営者が慈善事業に寄付するのは株主に対する背任行為だ。」と言いました。1980年以前は、経済的利益を追求する企業活動と社会的責任は相反するところがありました。
これに対して、ピーター・ドラッカーが「現代社会においては、企業経営者以外にリーダーはいないのだから、経営者は社会的責任を回避できない。」と言ったり、松下幸之助が「自分の会社だけが栄えるということは、永続きしない。」と語るなど、企業にとってCSRが必要であると認識されるようになってきました。
現在では、CSRは企業価値を高める。顧客の満足を高めて売上や利益を増やし、従業員の満足を高めてよい仕事ができ、企業が長続きする。といった効果が広く認められています。
逆に、CSRをやらない企業が、社会から見放される事例も見受けられるようになっています。
企業がCSRに取り組むことに異論を唱える人はいなくなりました。
簡単に言えば、このCSRを発展させた概念がCSV「共同価値の創造」です。
企業は、社会的課題の解決に貢献する製品やサービスを提供して、経済的成果をあげる。そのためには、企業内だけでなく企業の外にいる人々や機関と協働する。その協働は、事業を展開する地域全てでおこなわれ、その地域に貢献していく。という考え方です。
つまり、社会的課題の解決と企業の経済的利益を同時に実現することが、経営戦略として有効だということです。
CSVは、企業活動が社会や環境に与える負荷(マイナス部分)についての視点が曖昧になるという欠点を持っているなど批判もありますが、多くの経営者に受け入れられてきています。
CSVが成功するためには、企業が顧客や授業員・事業を展開する社会と十分なコミュニケーションをとることが重要です。レポートして伝えることの重要性は増しています。苦情も称賛も、あらゆる意見を聞き入れることが必須です。
優れたコミュニケーションが取れる企業にとっては、CSVは最強の戦略になるかもしれません。