日本と韓国の間にあった棘である慰安婦問題で合意が成立して本当によかった。
慰安婦問題は1977年の朝日新聞の記事が発端です。この記事そのものは、フィクションだったことが明らかになっています。その後、村山談話や河野談話での中途半端な謝罪や、宮沢首相の曖昧な対応があって、くすぶり続けてはいました。
しかし、実際に日韓の間の問題になったのは、李明博政権の末期である2011年末頃からです。そして、日本と韓国の間が決定的に冷えたのは、2012年8月の李明博大統領が天皇陛下に謝罪を要求した事件が契機です。
韓国に限らず、国家元首に任期がある大統領制の国ではよく見られることですが、その任期が終わる間際に国民の人気取りのために不合理な行動を取ることがあります。李明博大統領は、少しつんのめってやり過ぎたのだと思います。
言いたいのは、ほんの3年余り前である2012年8月までの日韓関係はとても良好だったということです。1998年の「日韓パートナーシップ宣言」から、2002年のサッカー日韓ワールドカップ共催、相前後しての韓流ドラマやK-POPの流行と「韓流現象」が続きました。その間、経済界でもサムソンを初めとする韓国企業の躍進で「韓国に学ぼう」「韓国に追いつこう」という機運が高まりました。あらゆる階層で日韓関係は蜜月でした。
今では多くの方が忘れてしまったのかも知れません。決して、日韓の間の感情や関係が長年に渡って冷えているのではないのです。ほんの3年ほどの間だけです。
日本と韓国は、価値観を共有できるパートナーです。産業分野では、特に電子部品の分野が象徴的ですが、最適な協調関係にもあります。
また、山口県で言えば、大内氏は百済の聖王の末裔であり、朝鮮からの渡来人を中心に発展した歴史があります。文化や伝統という面でも長年の交流が続いています。
従来からの良好な日韓関係が維持され発展されることを願っています。
最後に、「北朝鮮の核心(A.ランコフ著)」という本で、「即断即決・残忍・気まぐれ・感情に流されやすい」と分析される最高指導者が、独裁体制を築いている国がすぐ隣にあります。しかも、この国は核を搭載できる長距離弾道ミサイルを手にしている可能性があります。
何かとやっかいなこの国は、アメリカや日本をはじめとする国際社会から経済制裁などの圧力を受けています。この圧力からの譲歩を得るために最も有効だと考えているカードが、韓国との南北関係の緊張を高めることです。そのときに、日韓(+アメリカ)が連携・協力して対処できなければ、つけこまれます。
そういう観点からも、日韓両国の最高責任者が、率直に話できる環境となったことはリスクを軽減することにつながります。