年末を迎えて建設業は忙しくて人手不足なのですが・・

建設業における大きな経営課題は忙しいときと暇なときの差が激しいことです。

 

建設業の場合、年末の11月頃から年度末の3月末までは繁忙期です。その後、夏に掛けては閑散期で暇を持て余すことになります。

 

年商12億円の建設会社なら、毎月1億円づつ均等に売上があるのが理想です。出来高が2億円を超える月が出たり、5000万円を下回る月があったりすると大問題です。

もちろん、営業の責任者はできるだけ安定した出来高になるように受注を調整します。

大きな理由は現場代理人の配置です。年商12億円の会社であれば、大きな仕事を任せられる現場代理人は3~4人と言ったところです。また、工事内容や施主によっての得手不得手もあります。現場代理人を案件に適正に配置できなければ、工事そのものがうまくいきません。

 

ところが現実的には、建設工事量は繁忙と閑散の差がなかなか埋まりません。

公共工事が単年度予算の執行という制約によって、どうしても年度末に工事が集中します。民間工事も大企業では年度予算管理をしているので、公共事業ほどではありませんが上半期より下半期の工事出来高は多くなりがちです。

 

国や自治体が、厳しい財政のなかで、公共事業費を削減する最も簡単で、最も効果が高い施策は公共事業の平準化です。事業仕訳とは比較にならない絶大な効果が上がります。現政権は長期政権になる可能性がありそうですから、公共事業予算の仕組みについて見直しできればいいなぁと願っています。

 

もし予算の繰越や目的債権の活用などで公共事業が平準化できたなら、第一に雇用が安定します。閑散期に合わせて従業員を配置して、繁忙期に臨時雇用している実態があります。安定した雇用は、品質の向上につながりますし、労働災害の防止など安全衛生面の効果も大きいです。

第二に建設コストが下がります。建設工事では多くのリース機材を使用しますが、繁忙期は取り合いで使わないときも借りっ放し(返すと他の現場に貸し出されてしまう)にするケースが多いです。繁忙期は建設資材も含めてコストが上がります。

第三に会社の財務体質が健全化します。繁忙期には売上が増えるわけですが、その分の運転資金が必要になります。年末にお金を借りて、5月後半にお金を返すというパターンの会社はたくさんあります。

 

建設業は引き続き厳しい経営環境にあります。

政治の問題はともかく、業務の平準化に対して、個々の会社としても努力を続けていくことは大切です。但し、平準化の方法は業務範囲を広げることでしか達成が困難です。つまり、公共工事と民間工事・新営工事と保全工事・施工と物販など、販路を拡大する施策です。

小規模な建設事業者の業務平準化は難問です。一般的な解答はなかなか無いのが実情で、個別の会社毎に独自の解決策を求めていくことになります。