JR西日本は、人為ミスをした当事者は懲戒処分から外すように制度改訂する予定です。
少し前から、マスコミで報道されていました。概ね好意的な論調だったと思います。
ただ、ここにきて「処分が必要だ」という声も報道されています。主に福知山線事故の遺族とか、停車位置のミスによる架線トラブルで閉じ込められた被害者などへの聞き取りです。またマスコミが少し煽っているような気もします。
事故が起きるには「ハンリッヒの法則」というものが経験的に知られています。
1件の重大事故の裏には、29件の軽度の事故があり、その裏には300件の事故にならなかったヒヤリハット体験があるという法則です。
製造業や建設業に長年携わったなかで、私もこの法則は正しいと確信しています。
つまり、重大事故を防ぐには300件のヒヤリハット体験を活かすことが最も効果的です。
そこで、工場では「ヒヤリハットメモ」を提出すると言った活動をしています。ところが、十分に効果を上げていないところが多いのです。
それは、あからさまなミスや事故にはならなかったけど、不良品ができたり。工程を止めて生産が遅れたような事例だと、叱られるのではないか?処罰されるのではないか?人事考課で悪い点をつけられるのではないか?と考えてしまうのです。
人為ミスを報告することで免責されるのは、重大事故を防ぐのに役立ちます。
本気で重大事故を防ごうと考える工場では、ヒヤリハットメモの安全への貢献を評価して、提出出した本人を賞賛してプラス評価を与えるようなこともしています。
但し、ここで難しいのは賞賛やプラス評価されたことを知ることができるは本人だけということです。ヒヤリハットメモの内容のうち、個人が特定できる部分は完全に秘匿されなければなりません。
ヒヤリハットメモを最も活用しているのは、日本ではトラック陸送業界だと思います。そして、世界的には航空業界でしょう。
人は必ず失敗します。しかし、人為ミスはその人一人だけが原因ではありません。ミスを防ぎ、ミスがあっても事故につながらない対策を取ることは十分に可能です。