競馬の還元率は75%・宝くじは45%に対して、パチンコの還元率は85%・・。騙されないでください。
家計診断をする場合、保険の見直しや通信費の削減から入ることが多いのですが、ご主人のお小遣いが多すぎる場合はギャンブルが疑われます。
宇部市は宝くじの街として有名ですが、競馬や競輪・競艇場からは少し離れた立地です。
そこで、ギャンブルと言えばパチンコになるのですが、家計には最も危険です。
そのときの言い訳?で出てくるのが、冒頭の「パチンコは還元率が高い」という話です。
冷静に考えてみましょう。
100%から「還元率」を引いたら「控除率」ですが、これが胴元の「粗利益率」になります。
あらゆるギャンブルでは、必ず胴元が儲けて、お客が損をします。
競馬の馬券売上は約2兆3000億円で公営ギャンブルでは断トツです。胴元(JRAや地方自治体)の粗利益は、その25%で約5700億円になります。
宝くじの売上は約9000億円です。胴元(地方自治体)の粗利益は、その55%で約5000億円になります。
これに対して、パチンコの売上高は25兆円です。パチンコ店の粗利益は15%で、なんと約4兆円です。4兆円ですから、消費税の軽減税率どころが、国の安全保障費レベルの金額です。
本来、「還元率」が効いてくるのは数学的に言えば「大数の法則」と言われる定理が成り立つときです。非常に大きな回数のギャンブルをすれば、確率的に「還元率」どおりの結果になります。
競馬で1万円使った場合に7500円戻ってくるという確率は低いのですが、50年間毎日10レースに1万円づつ使ったなら(合計18億5000万円)、13億5000万円戻ってくる(つまり5億万円損をするということですが)と「還元率」が成立する確率はかなり高くなります。
ところが、普通は競馬を「大数の法則」が効くほどする人はいません。
宝くじの場合は、1等が当たる確率は1000万分の1ですから、もっといません。
つまり、競馬や宝くじは個人レベルでは「還元率」とは関係ないギャンブルと考えるべきです。
競馬で大数の法則が効くのは予想屋さんくらいです。もちろん、競馬で確実に儲ける方法があるのなら、予想屋なんかしていません。
また、宝くじのグループ買いなんかするのは明らかに愚かです。宝くじはバラで1枚だけ買うのが、確率的には最も正しい買い方です。
ちなみに、宝くじや競馬の万馬券など当たる確率の低いギャンブルの場合は、「ポアソンの小数法則」が適用されます。例えば、宝くじを1000万本購入しても、1等が当たらない確率は約37%もあります。
個人レベルのギャンブルの中で、唯一「大数の法則」が効く可能性があるのがパチンコです。
今年の余暇レジャー白書によると、1年間に1回以上パチンコをした人は1150万人で、平均して年間23回行っています。売上25兆円÷1150万人=220万円。1回に10万円分の玉を買っていますから、1玉4円として2万5千玉、年間で500万玉です。パチンコは1分間に100玉打てるそうなので、2万5千玉は、ずっと打ち続けたら約4時間半になります。
これくらいの数をすれば、「大数の法則」が効いてきて、「還元率85%」つまり「損失率15%」が働いてしまいそうです。
また、パチンコ店の取り分が4兆円ですから、4兆円÷1150万人=35万円です。平均して、パチンコする人は1回に1万5千円負けて、年間では35万円負けています。ほんまかいな?
と言うことで、「パチンコは、最も確実に損をするギャンブル」です。
パチンコ・スロット攻略本なんかが多数出版されることからもわかりますよね。攻略法が本当にあるのなら、誰も攻略本なんか出さずに儲けます。
よほど多額な不労所得でもなければ、家計に負担になるので、のめり込まないことです。