一票の格差は「違憲状態」

最高裁は昨年の選挙が1票の価値に最大2.13倍の格差があり「違憲状態だった」と判決しました。

 

本音と建前があるので、あんまり声高には言わないのですが・・

私たちのように地方に住む人の多くは、一票に格差があるのは当然に正しいと思っているのではないでしょうか?

 

山口県の人口は約140万人で日本では27番目です。日本の1%強で、まぁ平均的な規模です。

私は、山口県の前に世田谷区・その前は大田区に住んでいました。世田谷区は東京の区の中で人口が最も多くて約90万人です。お隣の大田区と合わせると、人口は約165万人です。この2区で山口県の人口は軽く超えてしまいます。

山口県のある中国地方では、島根県の人口は約70万人で大田区より少なく、鳥取県は約57万人ですから板橋区くらいです。

 

素朴に考えて、日本という「国」にとって、山口県や島根県は世田谷区や大田区より何倍も重要だと思うのですが? 国政選挙において、単純に有権者数で均等に割り振るのは正しいのでしょうか?

地方から大都市圏への人口集中が続くなかでは、今後も一票の格差は拡がっていきます。地方選出の議員はますます減っていくことになります。

 

憲法前文の冒頭は、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、・・」です。国会における代表者はとても重要です。

今回の判決は、14条「すべて国民は法の下に平等であって・・・・差別されない。」、15条「公務員を選定するのは、国民固有の権利である。(抜粋)」、43条「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」などに拠るようです。

要するに、「国民」の権利と義務というものです。

 

明治憲法が改正される形式で、第二次大戦で敗れた後に日本国憲法は作られました。

当時の日本は占領下にあって、独立国ではありませんでした。このため、領土や領海を持っていませんでした。だから日本国憲法には「国民」はあるのですが、「国」や「国土」はありません。

 

アメリカは合衆国という形態なので、一緒にできませんが一票の格差は70倍以上あります。

選挙の国・イギリスも連合王国という形態なので一票の格差は5倍強です。連邦制のオーストラリアは14倍、在外領土を持つフランスやイタリアなどでは数十倍です。

ちょっと話が違いますが、国連の会議などでは人口大国でも人口小国でも一票の価値は同じですから、一票の格差は10万倍です。

 

どうも、法律家の皆さんが「一票の格差」を過度に追及するのは、教条主義に過ぎて弊害が大きいように思います。これって、地方に住む人の僻みでしょうか?