老子の教えは毎週日曜日に掲載します。今日は、老子第七十九章です。
この章では、最後に出てくる「天道無親(てんどうむしん)」が四字熟語として有名です。
天の道は誰かと親しくすることはない。つまり、依怙贔屓せず公平であるという意味です。
また、「契」とは竹などで作った”割符”のことです。当時は、割符の左側「左契」を債権者が持ち、右側を債務者が持っていたそうです。
貸し手が借り手に無理に取りたてるのは徳が無いと言っています。銀行や貸金業の方には申し訳ないのですが、老子は「貸しをつくること」あるいは「相手が借りをつくること」を喜ぶのが徳のある者がすることだと一貫して言っています。
和大怨必有余怨。
安可以為善。
是以聖人執左契而不責於人。
有徳司契、無徳司徹。
天道無親、常与善人。
大きな怨みは和らげたとしても、必ず怨みは残り続ける。
和らげたことをもって善いことをしたとは言えない。
だから、聖人は割符を持っていても、相手を無理に責めたてない。
徳のある者は契約を管理し、徳のない者は取り立てを管理する。
天の道は公平で、いつも善人に味方するのだ。