音の強さを「デシベル」で表すことはご存知の通りですが、意味はあまり知られていません。
音の強さとは、「単位面積を単位時間に通過する音のエネルギー」ということになります。
この場合の単位は、「W/㎡」です。Wはワットで、エネルギーの単位です。
音の強さの範囲は、10のマイナス12乗(W/㎡)から10(W/㎡)までの間です。音の強さを”3×10のマイナス6乗(W/㎡)”とか表現してもわかりにくいので、0ベルから13ベルまでのベル表示にしました。
さらに、これでは大ざっぱすぎるので10分の1づつにわけて、0デシベルから130デシベルまでのデシベル表示にしたものが一般的に使われています。
この”デシ”という10分の1を表す接頭語は、欧米ではよく使われるのですが日本ではあまり見かけません。音の単位くらいでしょうか? 100分の1を表す”センチ”や1000分の1を表す"ミリ”などはお馴染みです。
さて、”ベル”という単位はちょっとやっかいです。
例えば、0デシベルを1とした場合に”10の3乗”を30デシベル。”10の4乗”を40デシベル。と表します。
ここで、30デシベルの音が二つ同時に鳴ったなら、何デシベルの音になるでしょうか?
30×2で60デシベルにはならないのです。
30デシベルは”10の3乗”のことですから、二つ同時に鳴ると”2×10の3乗”となって、対数をとると33デシベルになります。つまり、エネルギーが2倍になると3デシベル上がるというわけです。同様に、30デシベルと40デシベルではエネルギーが10倍。50デシベルでは100倍ということになります。
日本の環境基準(達成の目標値)で最も厳しい基準は、療養病院や老人ホームなど特に静穏な環境を求めるAA類型の夜間40デシベル以下です。最も緩い基準は、商工業地域の昼間60デシベル以下です。20デシベルの差ですが、エネルギーとしては100倍違うというわけです。
松尾芭蕉は「閑さや岩にしみ入る蝉の声」とか「古池や蛙飛び込む水の音」とか、音に関わる俳句をたくさんつくっています。
音を愛でることができる環境を整えていくことが大切ですね。