古来より、度量衡(長さ・体積・重さ)を支配することは、国家を支配することです。
ヒトは知恵を持ったはじめから、いろいろな理由でモノを測っていました。最初に測るのは、数です。「ひとつ・ふたつ・みっつ・・」どちらが、多いとか少ないとかですね。
ヒトの生活が高度化して文明と呼べるようになると、長さとか体積とか重さといった、ちょっとややこしいものを測るようになります。人が長さを測った最初の証拠は、7000年ほど前のインダス文明の遺跡から、等間隔に柱を立てた穴が見つかったものだそうです。
長さの単位は、古今東西どこでも体の長さとの比較から始まっています。短いほうから、指の幅・親指と小指の幅・手首から中指の先・・・歩幅・身長まで。どれも、ヒトによって違うので正確ではありません。ちなみに、もっと長いほうの単位では、遠くにいる雄牛が見分けられる距離・馬のいななきが聞こえる距離なんていうのもあります。これも正確ではありません。
更に文明が高度になって交易などをおこなうようになると、度量衡の標準がどうしても必要になります。その結果、度量衡を支配することが、国を支配することになります。
今から4000年ほど前のメソポタミアの遺跡では、神から王が「ものさし」を拝受する姿が壁に刻まれています。王権の象徴が「ものさし」でした。
現在、日本では産総研のなかに計量標準総合センターという組織があります。度量衡をはじめとするあらゆる計量標準の管理をしています。
産総研は2001年に設立した機関で、当時の旧通商産業省工業技術院の15研究所と計量教習所が統合再編して発足しました。この16の組織の中でも、当時の計量教習所の歴史は長くて起源は明治36年(1903年)に設置された中央度量衡検定所です。