悔いるこころの曼珠沙華燃ゆる 山頭火
山口盆地では曼珠沙華は名実ともにお彼岸の花です。秋分の日の頃に、突然真っ赤に咲いていましたが、週が明けるともう色褪せてしまいました。
曼珠沙華の開花期間は本当に短いのですが、それも一つの趣です。
なんでも、日本の曼珠沙華は中国大陸から伝来した一株から増えたものだとか。すべて同じ遺伝子を持っているそうです。それで、北海道から沖縄まで、どこでも見ることができるのはとても不思議な花です。
冒頭の俳句は、山頭火の有名な句です。
山頭火が、お彼岸花が真っ赤に咲くのを見たのはお墓参りのときなのでしょうか。山頭火は旅に生き、親にも友にも迷惑をかけ通しです。後悔してもし尽すことなどできない自分の気持ちを代弁するように曼珠沙華が燃えるように咲いています。深いため息をついたのでしょうか。
山口盆地では、代わってコスモスが彩りを深めています。こちらは、明治中期以降に南アメリカから園芸用に輸入されたものが日本中に広がりました。
やせた土地でも、よく育つので生物多様性という観点からは日本の在来種を駆逐して問題も大きいのですが、ここまで繁栄すれば日本の秋には欠かせないものです。色とりどりで、形もさまざまなコスモスが冬の気配がするころまで、楽しめます。
ひょろひょろとして細いのに、とてもたくましい姿は母のイメージなのでしょう。山口百恵(さだまさし)の歌も有名ですが、・・と、ここまで書いて曼珠沙華も山口百恵(阿木燿子)の歌にありました。
誰もゐないでコスモスそよいでゐる 山頭火