食品添加物への誤解・・踊らされないで!

「食品添加物に殺されるな!」のような煽情的な記事がときどきあります。

 

以前のブログに農薬のことで書いたのですが、多くの人が誤解しています。

人工的に合成された化学物質が危険で、天然にあるものが安全であるという誤解です。

 

農薬で言えば、植物は天敵(鳥とか虫とか)から自分の身を守るために自然に農薬成分を合成します。多くは神経毒で人間にも有害です。化学合成した農薬を適正に使用すると、植物は天敵の脅威がなくなるので、自然農薬を合成しなくなります。結果として、人間に安全な食品になります。

 

 

食品添加物でも、同じようなことが言えます。

「無添加」=「安全」では決してありませんし、「天然添加物」が「合成添加物」より安全でもありません。このあたりは、要注意です。

 

食品添加物で最も量が多いのは、ラーメンやうどんなど麺類をつくるときの炭酸ナトリウム(ソーダ灰)です。よく「かんすい」とか言われます。山口県はソーダ工業が集積しているので、かなりシェアが高いと思います。

他に、古くから使われている食品添加物には、豆腐をつくるときの「にがり」塩化マグネシウムとか、あく抜きや防腐に使われる「消石灰」水酸化カルシウムなんかがあります。

 

食品添加物で悪玉に上げられるのが、防腐剤(一般的にはソルビン酸)です。

ソルビン酸の無毒性量は体重50kgの人で1日当り1.36gです。こんな僅かな量でも害があるかも知れませんから危険のように感じます。しかし、食品添加物の使用基準はこの無毒性量の100分の1を超えて摂取しないように設定されています。例えば、ハムを食べて無毒性量を超えようと思えば、使用基準の上限まで添加したとしても、1日あたり60kgを食べないといけません。

 

一方で、食塩の無毒性量は1日当たり20gです。日本人の平均食塩摂取量は男性で12g・女性で10gくらいです。厚労省は男性で8g・女性で7gを目標にして、減塩への取組みをしています。

 

防腐剤を使用しないと、腐りやすくなるわけですが、腐敗とは食品に付着した細菌など微生物の繁殖のことです。地球上で最も強力な毒は、ポツリヌストキシンといって、食中毒で有名なポツリヌス菌が出す神経毒です。人類が合成した最も有毒な物質(VXとか)の10万倍の毒性があります。

合成だからダメとか、自然のものはヨイということは無いので、合理的な利用をしたいものです。

最も大切なのは、信頼できる相手から、きちんとした流通経路の食品を購入することです。