日本で治水事業はますます重要です

東日本で大きな水害が発生しました。島国である日本では独自の河川での減災対策が必要です。

 

公共事業のムダという議論で、

「日本の公共事業費は過剰だ。国土面積が25倍で人口が2倍のアメリカと比較して2.7倍にもなっているのはおかしい。」という話をよく聞きました。

このときに、象徴的に語られるのがダムや堤防といった治水施設と、新幹線や空港といった交通施設でした。現在は、大きな災害が頻発していることや、観光産業の活発化などで下火になりました。古来より、治水と交通はクニ(国)の要です。

 

日本とアメリカの比較をしてみますと・・

日本の治水費用は過去20年間で3分の1に減っていて、年間で8000億円くらい。

アメリカの治水費用は日本の3分の1で、年間2500億円くらい。

一方で、日本の水害被害金額は年間平均で6000億円くらい。(台風被害を含む)

アメリカの水害被害額は年間平均で4000億円くらい。(ハリケーン被害を除く)

 

被害の大きさが日米でほぼ同じなのに費用は日本が3倍っておかしいでしょうか?

そんなことはないですよね。費用の効果はどれだけ被害を避けられたかで評価すべきです。 

 

日本の河川の河状係数(最大流量/最小流量)は平均して1000くらいもあります。

(最大流量が最小流量の1000倍という意味)

アメリカの河川で河状係数が100を超えるものはほとんどありません。

 

被害金額は計算できますが、被害を防止できた金額を計算するのは推理になります。しかし、日本の治水事業は成果を上げているとの推定は十分に可能です。

また、アメリカが治水事業にお金を使わないのは、水害の発生頻度が低いことが要因ですが、水害対策は自己責任だという考えがあります。

実は、日本の水害被害金額6000億円のうち、民間の被害額は2500億円です。3500億円は治水施設自体を含む公共財の被害です。一方で、アメリカの被害はほぼ一般家庭の被害額と言われています。つまり、民間の被害は日本のほうが少ないのです。

 

効果の乏しい事業計画や、役に立たない工事費用を使うことをしてはいけませんが、治水事業はきちんとやっていきたいものです。

地球温暖化の影響で、日本の気温はこの100年間で1℃上昇して、降水量は10%増えました。

 

太平洋の海水表面温度が上昇して台風の最低気圧が下がり大型化していきます。

これからも、大型水害の危険は増していきます。自治体や民間に任せるのではなく、国の事業として、治水をおこなうことがますます大切になっています。

 

もちろん、基本課題は、低炭素社会をつくり、温暖化にストップ!をかけることですが・・。