環境問題ではいろいろなプログラムがどんどん出てきます。ついてきてくださいね。
BBOPは、「Business and Biodiversity Offsets Program」の略です。日本語では「ビジネスと生物多様性オフセットプログラム」と言います。ほぼほぼ、生物多様性オフセットに関する国際基準と言えます。主管しているのはアメリカ国際開発庁(USAID)で、いろいろな国際機関や日本を含む各国政府や民間企業が資金を拠出して運営されています。
BBOPでは、ビジネス活動が原因で生じる生物多様性の損失を、何か他のことで補って、正味ではゼロ(できればプラス)にすることを目指します。
例えば、鉱山から資源を採掘するには森林を伐採したりクルマを走らせたりして生物多様性に損失を与えます。そこで、鉱山から少し離れたところに土地を確保して植林をしたり、生物の通り道をつくったりして、損失分を補います。
世界最大の小売業ウォルマートは店舗を設置する場合には、その店舗面積以上の森林を必ず確保して永久に保全すると約束しています。(これは、NFWF(連邦魚類野生生物基金)との「エーカー・フォア・アメリカ」というパートナーシップです。)
日本で企業活動をする主体でも、ますますBBOPの考え方は重要になります。
日本は森林大国なのですが、放置森林が大きな問題になっています。国産森林資源を活用する産業の収益性が大きく低下しているわけです。それはビジネスとは関係が無い林業の問題と言うわけではありません。生産性の高い(生育の早い)熱帯の国から、安価な外材を大量に調達して直接的に利益を上げたしり、それを使って新しい商品を開発し販売して利益を上げている企業の存在があります。
企業が収益を目指すなかで、直接的あるいは間接的に損なった生物多様性を、何らかの代替手段(例えば国内森林の保全など)で、補うことはもっと推奨されてもよいです。そして、それを実行した企業はもっと称賛されるべきだと思います。