老子の教えは毎週日曜日に掲載します。今日は、老子第六十三章です。
この章で有名なのは、「怨みに報いるに徳を以てす」です。自分を憎んでいる人にこそ、親切にしなさい。ということですが、簡単なことではありません。
大きな仕事を成し遂げようと思うなら、最初が肝心です。どんなことでも、やるべきときにやらないで放置していると、どんどん大事になっていきます。手に負えないようになる前に、問題が芽のうちに摘んでしまうことが大切だと言っています。
> 新国立競技場の問題なんかがそうですね。
最初にしっかりしたプロマネを決めて、課題が小さいうちに処理しておけばよいのです。
そうやって自然に、誰にも大プロジェクトだったと気づかせないままで、競技場が完成してプロジェクトXにも取り上げられることもないのが本当に優秀なマネージャーです。
爲無爲、事無事、味無味。
大小多少、報怨以徳。
圖難於其易、爲大於其細。
天下難事必作於易、天下大事必作於細。
是以聖人終不爲大、故能成其大。
夫輕諾必寡信、多易必多難。
是以聖人猶難之、故終無難。
自然に業績を挙げ、重大事にせず仕事をし、味気ない事も楽しむことを目指す。
仕事の大小にも多少にもこだわらず、メンバーに憎まれても親切にする。
難しいことは易しいうちに片付け、大きな仕事は細かく扱う。
困難なプロジェクトも最初は易しく、大きなプロジェクトも最初は細かい。
優秀なマネージャーは重大事にしないで、大きなプロジェクトを完成させることができる。
安請け合いすると信用を失い、安易に進めると困難が増える。
優秀なマネージャーは困難だと気を引き締めるので、無難にプロジェクトが終わる。
※ ・・とここまで書いといてですが、
何でもかんでも芽のうちに摘むのがよいかと言うと、ちょっと違いますよね。
ほっておいても大したことにならないものを、全部摘み取るようなことをすると、それはそれで弊害も出てきます。「何もしない」という選択肢は、どんなときでもあります。