年金だけでは月の収支が赤字になる場合があるので、準備をしておきましょう。
年金生活の独居老人が車内で焼身自殺をして、無関係な女性を巻き込んだうえに、新幹線の運行に大きなダメージを与えました。
焼身自殺したのは男性で71歳。岩手県から上京して、40歳代までは流しの歌手をしていた。その後、いくつかの会社で仕事をしたが現在は無職で年金に頼って生活をしている。月の年金額は約12万円で、生活するには少なすぎると不満を持っていた。・・というのが、報道の内容です。
先ずデータを示します。(総務省の家計調査)
65歳以上の無職単身世帯の月当たり収支の平均値
男性は不満に思っていたようですが、平均でみると年金額12万円は少なくありません。
しかし、平均で月に3万円ほどの赤字になっています。年間30~40万円の赤字です。
これは、無職の二人以上世帯でも同じで、平均的に年金所得だけでは3~6万円ほど赤字です。年間では40~70万円ほどの赤字になりますから、無職のお年寄りはそれまでの貯蓄を取り崩してこの分に充てています。
こう言うと年金生活者は生活苦のようですが、現在の65歳以上で二人以上世帯では平均貯蓄残高が2300万円近くあるというのが統計上のデータです。この貯金があるので、多くの家庭ではそれほど困っていません。
一人口より二人口と言うように、夫婦二人世帯ではある程度の貯蓄があることと、仮に貯蓄がすくなくても節約生活もできるので何とかなっている場合が多いようです。
※ 逆に言えば、貯蓄があるので支出が収入を上回るとも言えます。
ところが単身者では貯蓄を持っていないケースが比較的多くなっています。このため、今回の男性のように月々の赤字を補てんできない事態に陥ります。
90歳を超えても長寿を全うできることも珍しくありません。働かなくなってから後に25年くらいの期間があります。単身者が、誰にも頼らないで生活するならば、35万円×25年=875万円+αとして、1000万円程度を無職になる時点で資金を確保しておきたいところです。
いつでも貯蓄や運用はできると思わないで、早めにコツコツとおこなうことが望ましいです。