粉体を取り扱う「ものづくり」では、「粉じん爆発」はとても身近でいつも注意しています。
台湾のレジャー施設で火災が発生して、500人以上の人が火傷を負うなど大きな事故になりました。なんで、そんなことをして楽しいのかはわかりませんが、身体にカラーパウダーをつけて楽しむイベントとのことです。とうもろこしを原料にした粉末に色を付けて、空気でまき散らします。台湾特有ではなく、日本やアメリカでも頻繁に行われているそうです。
火災の原因は、「粉じん爆発」だと予想されています。
粉体を取り扱うものづくりをしていた者には「粉じん爆発」は身近です。被害が出るような事故は起こしませんが、舞い上がった粉じんに静電気で着火するとか、空気輸送配管で小爆発が起こるとかの、ヒヤリハットの事例は経験している人が多いと思います。
粉じん爆発は金属粉など工業品の工場だけではなく、穀物・飼料・砂糖などの工場でもよくおこります。製粉所で小麦粉が爆発するようなこともあります。火力発電所では石炭や木質を微粉にして燃焼させるケースが増えていますので、ヒヤリハット事例はよくみられます。変わったところでは、テッシュペーパーをつくる過程で爆発が発生したりします。
もちろん、きちんとした工場では被害が出るような事故につながらないように、何重にも安全対策をとっています。ご安心ください。
粉じん爆発で気をつけるファクターは、主に次の4つです。
1)粉体の粒径 一般に、300μm(0.3mm)以下は爆発の可能性があります
2)水分 水分が少ない(乾燥している)と爆発の可能性があります
3)最小着火エネルギー
4)爆発下限粉じん濃度
最少着火エネルギーと、爆発下限粉じん濃度が低いほど爆発は起こりやすいわけです。
その視点で最も危険なのはフェノール樹脂など樹脂粉末ですが、その次がトウモロコシの粉とか砂糖になります。危なそうに感じるアルミニウムやマグネシウムの粉より気をつけないといけません。
こういう事例を機会にして、粉じん爆発対策がきちんとしているか工場内を再点検をしてみることはよいことです。
いつのまにか、アースが外れているということもあるかも知れません。