自然を多様にとらえる「多自然川づくり」

日本の河川整備の基本的な考え方は、多自然(more natural)な川づくりです。

 

       宇部市真締川
       宇部市真締川

日本では1990年ことから、自然を活かした川づくりをしていこうという考え方が定着してきました。

これを「多自然」な川づくりと言います。多自然は、自然が多いという意味ではなく、自然のとらえ方が多いという意味です。

 

国土交通省の「多自然川づくり」のサイトが詳しいので紹介します。

1997年の改正河川法で、河川の生態系保全が河川事業のなかに取り入れられました。総合的な河川整備の考え方として「多自然川づくり」が進められるようになっています。

 

例として、洪水を予防するために、川が流すことのできる水量を増やす工事をする場合、方法は3つですよね。1)川を掘って深くする。2)川幅を広くする。3)川を深くも広くもする。

 昔は、とにかく深くとか、とにかく広く、だったのですが、今は違います。

 

川幅を広くするために伐採しなければならない木々は仕方ないのですが、その外側にある既存の木々(河畔林)は保全されます。川幅を広くとっても、普通に流れるときの川幅はもともとの川幅と同じに保ちます。つまり、河原が拡がることになるのですが、ここに植物が生息しやすいような工夫をします、法面の傾斜を緩やかにしたり、覆土をするなどです。但し、洪水にならないように、最大水圧に耐えられるだけの強度を持たせます。

 

河川は、日本の原風景そのものです。自然環境と意味だけでなく、漁業や物流などの産業に使われ、生活用水を提供し、芸術や文化を形作っています。

 

山口県は三方を海に囲まれていて、海岸線の延長は1500㎞にも及びます。日本の海岸線の総延長は33,000㎞ですから、4.5%を占めています。このため、山口県が管理する河川の数は、106水系・471河川・総延長2,190㎞になって、北海道を除くといずれも日本一です。

山口県は、実は「川の県」でもあります。