詳しく調べたわけではないので少し乱暴なのですが、ちょっと疑問なので書きます。
ソーティングセンターというのは文字通り「選別施設」のことです。
日本におけるリサイクルは、原則として排出源での「分別」です。「分ければ資源・混ぜればただのゴミ」という考え方で、分別によって利用価値を高めるという考え方です。
これに対して、外国、特にドイツなど欧州では分別をしないままに一括収集をして、大規模な機械選別をおこなうソーティングセンターを設置して再資源化をするという考え方が主流になっています。日本においても、ソーティングセンターを核としたリサイクルシステムに転換するほうがよいのではないかという議論が活発になりつつあります。
ソーティングセンター方式の最大のメリットは経済性です。分別収集をするということは、その時点で被処理物が細かいロットに分かれているので、処理施設は中小規模ものを多数設置しなければなりません。したがって、コストが必然として高くつきます。
また、個別分別では100%間違えないということは期待できず、不純物の完全排除は困難です。つまり、リサイクル性も劣るという指摘は当たっています。例としては、ペットボトル(材料はPET)のキャップやシール(材質はPP)を分けることを思い出してください。皆が完全に実行することは、いかにまじめな日本人でも困難ですし、そもそもキャップの下に残るリングは外すことができません。全部まとめて、機械選別機に入れて破砕した後に分別するほうが合理的です。
さらに、技術進歩が進むなか海外で主流になっているソーティング方式を日本が採用するほうが、機械メーカーなどのビジネスチャンスも拡大するという主張もされています。
好いことづくしのソーティング方式ですが、本当にそうなんだろうか?と少し疑問に思います。
今の日本の分別は、世界中の国から称賛と同時に奇異な視線を浴びています。
各家庭が極めて厳密で緻密なゴミの分別をおこなっていることが、海外の常識では理解できないわけです。来日外国人が最も困ること、あるいは最も叱られることがゴミの分別と言われます。
しかし、仮に経済的に非効率であっても、すでにゴミの分別は日本の文化として定着しています。環境や地球資源の問題をわが身のことと考える援けになっています。また、何よりゴミの発生量そのものを減らすことに大いに役立っています。
欧州の都会では犬の糞を飼い主が掃除しないところもあります。ペット税(処理料金)を払っているので、糞の処理は自治体が雇った専門作業員の仕事になっています。確かに合理的ではありますが、スコップ、ビニール袋とテッシュペーパー、洗浄用の水ボトルなど資材一式を持って、嬉々として散歩する飼い主と愛犬の関係のほうが好ましいと感じます。
と、ここまで書いておきながらですが、確かに経済合理性を無視もできませんので、改めて考えてみて、またの機会に再掲したいと思います。