口永良部島火山噴火と小笠原諸島深発地震

日本には世界の活火山の7%があり、M6以上の大地震の20%が日本で発生しています。

 

日本の面積は世界の0.25%ですから、いかに火山や地震が集中していることがわかります。それに加えて、大陸の南東縁にある列島という地理的な条件から夏には台風や集中豪雨、冬には豪雪と自然災害が大変に多く発生します。結果として、世界の自然災害による被害金額の12%が日本の被害金額となっっています。大雑把に毎年1兆円の被害金額と考えられます。

 

1995年の阪神淡路大震災をきっかけにして構造物の耐震性能の考え方が大きく変わりました。原則は、100年に1度程度の災害では損壊しないことを第1基準として、1000年に1度程度の稀な災害では仮に損壊しても2次被害は防ぐなど壊滅的な被害を出さないことを第2基準としました。

 

阪神淡路大震災で高速道路の落橋事故の映像は大きな衝撃を与えました。全国で橋梁の耐震補強工事が進められた結果、東日本大震災では東北自動車道などで大きな落橋事故がおこらずライフラインの早期復旧につながりました。

 

しかし、東日本大震災は戦後最悪の被害を出し、津波への対策と原子力発電所の緊急停止という大きな課題を残しました。東北3県で全半壊した防波堤は190km、河川も含めた堤防の損壊箇所は1200箇所を超えます。耐久性の高い防波堤や堤防を整備する必要性が再確認されました。

 

そのなかでは、いわゆるスーパー堤防という堤防の裏法面(ノリメン)を有効活用するという考え方が見直されています。堤防を高くすると生活空間と海や川が隔離されてしまい、漁業などの産業はもとより眺望も奪われて生活の品質が損なわれます。そこで、堤防の陸地側に盛土をして高くして、緩やかに高度を下げていくようなことです。

 

さて、東日本大震災によって列島の深部が揺すぶられたことが火山活動の活発化を招いたと言われます。御嶽山の大きな被害や、箱根大涌谷火口の警戒レベルアップなど多くの事象があります。

今回の口永良部島の噴火に際しては、これまでも小噴火を繰り返していたこともあって、迅速な避難がされたことで人的被害が最小限であったことは幸いです。

また、テレビの映像で観る限り、避難場所になった番屋が峰避難所は十分な強度があり食料や水の備蓄もあったようです。また、区長さんが驚くほど早い時期に正確な情報を把握していました。

 

自然災害はそのかたちを都度変えながら、わたしたちを襲ってきます。ハードの対応に加えて、ソフトの対策も重要です。

今回の口永良部島の噴火では、発生時の連絡連携体制が確立され、避難誘導の訓練も十分行われていて、且つ避難拠点の整備も出来ていたと思います。また、鹿児島県や屋久島町による支援体制も称賛されるべき水準のように感じます。

 

成功事例の情報公開や検証はおざなりになりやすいのですが、今後の参考にするために積極的な議論があればよいと思います。