国会審議が、ヤジ連発・スマホ操作・居眠り・途中退出・・と揶揄されるのもどうかと思います。
共通の認識として、日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増しているということがあります。
中国の軍事費は1995年から2010年までで実質5倍増加しました。各地の領土問題、大量破壊兵器の拡散、歴史民族対立の激化、など東アジアに大きな懸念を与えています。
尖閣諸島だけでなく、台湾海峡・南シナ海・新疆紛争・チベット独立運動などなど、事態は複雑化していますが、一定の秩序と言うか均衡は保たれているような気もします。
お隣の北朝鮮の独裁者は常軌を逸した行動を取り続けています。韓国への越境や弾道ミサイル発射などの心配もないとは言えませんが、自殺行為をわざわざしないだろうという気もします。
これを受けて、安保法制への賛成派の主張は・・
日本の安全を確保するには、日米安保・防衛協力を強化することが必要で、これにより抑止力を高めることができる。
一方で、反対派の主張は・・
日米防衛協力の強化をすると、中国を刺激して紛争を誘発することになる。朝鮮半島有事(あるいは台湾海峡有事)に米軍と一緒に巻き込まれる危険があるので不要だ。
と言うことだと思います。
さて、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の2012年のデータを並べてみました。
横軸が「紛争への脅威を感じている」指数で、右に行くほど高くなります。
縦軸が「軍備の増強を望んでいる」指数で、上に行くほど高くなります。
日本・アメリカ・(オーストラリアも)などは、紛争の脅威を強く感じていますが、軍備の拡張は望んでいません。日本は世界で最も軍備拡張を望まない国ですし、アメリカは世界で最も紛争の脅威を認識している国です。日本とアメリカは、それぞれ軍備拡張できるだけの経済発展が難しいので、仕方なく協力してやろうという事情もあります。
一方で、中国・ロシア・インドは軍備の拡張を強く望んでいますが、紛争の脅威は中位です。軍備拡張に使うお金があり、米国の弱体化も相まって、自国の力に自信を持っているということです。脅威を感じていないので、逆に直接的な紛争を望まないということです。
不思議なのは、普通に考えれば差し迫った脅威にさらされていて、日米が集団的自衛権行使する場合の現実的な対象である韓国と台湾が脅威も感じず軍備拡張もそれほどには望んでいないことです。
国際関係というのはなかなか難しいものです。