マーリンズのイチロー選手が、ベーブルースのメジャー通算安打を超えたときの談話です。
アメリカ人記者
「イチロー、おめでとう。ベーブルースの記録を超えたね。感想はどうだい?」
イチロー
「何も感想なんかないよ。ホームラン記録を超えたら話をするよ。彼は、アメリカ野球の象徴、神様みたいな人。しかもホームランバッター。僕とは全然タイプが違って安打の数が比較にならないでしょう。体形なんかも含めて、僕とは全然違うよ。」
いつもながら、イチロー選手の受け応えには感心させられます。
もしあなたがイチローだったら(ちょっと考え難いですが・・)どう応えるでしょうか?
アメリカ人記者
「イチロー、おめでとう。ベーブルースの記録を超えたね。感想はどうだい?」
イチロー(A)
「ありがとう。最高の栄誉です。ファンの皆さんの応援のおかげです。」
何となく、日本のプロ野球選手だと、模範解答はこのようになりそうですし、多くの選手が実際にこう話しそうな気がします。
会話はキャッチボールですから、一般に「返し言葉」が重要と言われます。
「最高の栄誉です」「自信になります」「心が躍っています」「超気持ちいいです」・・・
ところが、イチローは「何も感想なんかないよ」と返していません。
上級テクニックで、間違えると拙いことになります。
例えば、会社でこんなシーンを思い起こしてみてください。
課長
「大型契約だね。よくやった。すごいじゃないか。さすが我が課のエースだ。」
あなた
「これくらい当たり前ですよ。」
課長
「いやいや、すばらしいよ。どんな具合だったか教えてくれよ。」
あなた
「すみません。いま手が離せないので、後にしてくれますか。」
会話では受けたら返すということが重要です。せっかく業績を上げたあなたですが、こういう受け応えだけしていたら、将来は厳しいかも知れません。
イチローは、あえて会話のキャッチボールを避けて、ベーブルースの偉大さを称えています。
アメリカ人にとってのベーブルースを、日本人にとっての長嶋茂雄と考えると間違いだと聞いたことがあります。”長嶋+王+金田”を何倍かしたくらいでちょうどよいそうです。
イチローは、アメリカでインタビューを聞く人たちとの距離を縮めるように、いつも心がけているのだと思います。これからも記録を伸ばしていって欲しいと思います。