マグニチュード(M)とSI単位系のお話

昨日はネパールでM7.4、今朝は宮城沖でM6.8の地震がありました。箱根山では最大M2.9の火山性地震が起きています。

 

計量の世界では、国際単位系(SI)を使用することが推奨されています。それぞれの国や企業が異なる単位系を使うと、いろいろな不具合が生じるからです。英仏共同開発のコンコルドで、ヤード法のイギリスで製作した部品とメートル法のフランスの部品でピッタリ合わなかったといった事例がよく知られています。

 

SIはメートル法を採用していますが、メートル法は10進法ですから世界的に納得性があります。現在のSIは、MKSA単位系となっています。

M(メートル)・K(キログラム)・S(秒)・A(アンペア)を意味していて、これに温度のケルビン(K)・物質量のモル(mol)・光度のカンデラ(cd)を加えた7つがSI基本単位です。

 

原則として、その他の単位は、この7つの基本単位を組み立ててできていて、現在では、基本単位につながらない単位の使用は推奨されません。例えば、台風などの気圧を、昔はバール(ミリバール)という非SI単位を使っていましたが、今はパスカル(ヘクトパスカル)というSI単位を使うように代わっています。

 

さて、地震のエネルギーを表すマグニチュードは、使用が広く認められている数少ない”非SI単位”のひとつです。

「震央から100km離れたところにある地震計の最大振幅(マイクロメートル)の常用対数をとったもの」という定義で、アメリカのリヒターという人が最初に提唱しました。

 

エネルギーはSI単位ではジュールですが、ジュール表記に変更しようというような考えはでていません。マグニチュードの分かりやすさと、歴史的な継続性による使い勝手のよさが優っています。

「先ほどの地震の規模は、7ギガジュールでした。」と言われても、ピンとこないわけです。

 

さて、マグニチュードは対数的に表現した値ということが重要です。マグニチュードが0.2大きくなると地震の規模は2倍、1違うと30倍の規模となります。

ネパールのM7.4の地震の規模は宮城沖のM6.8の約8倍で、箱根山のM2.9は宮城沖M6.8の80万分の1の規模となります。

 

なお、マグニュードと震度は違うという注意をよく耳にしますが、震度というのは階級ですから、そもそも単位でもありません。震度に7.4とか6.8とかがないことで分かります。