TPP交渉報道での誤解・・日本の農家は小規模ではない

窓の外が台風の影響で荒れ模様なので、気になっていたTPPの農業について書きます。

 

よく、「日本の農業」は1戸当たりの規模が小規模で、競争力が無い。という話がでてきます。

 

確かに、アメリカやオーストラリアの農場は面積でみると日本の農家の100倍以上の経営規模があります。

このために、日本の農業が、TPPによって何らかの影響を受けることは間違いありません。「TPPに参加しても日本の農業は競争力を保って発展できるはず」という方の主張も否定しませんが、いずれにせよ何がしかの変化はおこります。

 

 

ただ、日本の農業が特別に経営規模が小さいわけではないことに注意が必要です。

実は、アジアの国々のなかでは、就農者1人当たりの耕地面積は日本が最大です。統計によれば、韓国やマレーシアの1.5倍、タイやカンボジアの2倍、中国やベトナムの5倍くらいの規模になっています。つまり、アジアからみると、日本の農業は小規模ではなくて、米・豪・それに中欧の国々の農場の規模が際立って大きいということです。

 

これは、気候と人口密度による必然の結果です。日本を含むアジアは温暖で雨が多いので、水田での米作に適していて、小麦などの穀類の生産には不適です。

また、人口が多い(人口密度が高い)ので、手間はかかりますが単位面積当たりの収穫量が多い米を主食として生産するのが合理的です。

つまり、日本が欧米諸国と比較して生産性の低い国(農家を過剰に保護している)と言われるのですが、農業と言う自然と密接に関係がある分野では、日本はまさにアジアの国なのです。

 

現在、TPPは12か国で交渉がおこなわれています。日・米・豪・カナダ・・だけでなく、ベトナムやマレーシアが早い時期から加わっています。また、日本と同じ農業保護の悩みを持つ韓国や台湾、それにタイやフィリピンも参加を検討しています。

 

今後、TPPの枠組みを広げていくには、アジア農業の代表としての日本の役割は重要です。

もう少し踏み込むと、経済規模が大きくて日本より農業保護率が高い韓国との連携がより強くできると、よいと思っています。