予算(年度経営計画)に執着する

 新年度最初のチェックポイント、4月実績の予算達成率が98%だったらどうしますか?


 発展する会社では、達成率98%だったら大騒ぎになります。2%の原因を徹底して調べて、対策を練ります。そして、残りの11か月でこの2%を補てんできるように新しい計画をつくります。


 さて、予算未達が当たり前の会社はよくあります。

 予算に対し80%とか90%の達成率でも、あまり気にしないうえに、誰かが責任をとることもないような会社です。

 なかには、社長が、予算は目標だからと言って、達成できないことを承知で高い目標を設定している会社もあります。社員もみんなが最初から諦めてしまっていますから、そもそも予算の意味がありません。


 そこで、社長が予算をつくるのではなくて、現場の責任者が立案した予算を事務局が集計して、社長はそれを承認するだけにしよう。というふうに変える会社があります。現場は、目一杯やってようやく到達できる数字を予算化したという建前です。

 予算管理は、現場の責任者が月度の進捗を持って社長のところに集まって、PDCAを廻すことにするのです。自分で建てた予算だから、やる気も出て業績があがるだろうという目論見です。


 先ず、目標を予算にしている最初の会社がダメなのは当然です。

 予算は「標準」ですから、経営統制の合理的な基準でなくてはなりません。実績と比較して差異を分析できる基準となっているかを、いつも確認していきます。


 次に、現場の責任者が立案した数字を積み上げる二番目の会社もダメです。

 予算は社長が決めるものです。そして、現場に達成を強要しなければなりません。現場は決して諦めずに、達成させるのです。そして、達成できなくて責任を取るのはもちろん現場の責任者です。

 他人がつくった計画を実行するのでは、やる気が湧かない。などと平気で言うマネージャーがいます。他人がつくった計画と「社長がつくった我社の予算」は全く違うものです。

 しかし、会社とは変化する環境の中で必死にもがく存在です。会社の状況と環境を知っている社長が、きちんとした予算を建てなくてはなりません。


 もちろん、人員が無限にある会社は無いので、社長が現場に無茶な責任を取らせると人がいなくなります。それはそれで、会社はつぶれてしまいます。

 このせめぎ合いをする場が、予算(年度経営計画)です。予算に執着して、絶対に達成するように仕事に打ち込むことがたいせつです。