後にバブルと言われた1989年末に日経平均株価は38,957円の最高値を記録しています。
ある方から、今後の株価の見通しについて質問されました。「アベノミクスで株価が上がっていて、瞬間では20,000円を超えた。とは言え、まだ最高値の半分くらいだから通過点。もっと株価は上昇するのではないか?」というのが質問の趣旨です。
解答は「将来の株価がどうなるかは、誰にもわかりません。」です。・・当然です。
但し、注意が必要なのは「日経平均株価」という指標です。この指標は、その時点の東京証券取引所の代表的な225銘柄の株価を平均した指標です。1989年の225銘柄と、現在の銘柄は重複しているものもありますが、入れ替わったものもあります。
現在の日経平均株価に最も影響を与える銘柄は「ファーストリテイリング(ユニクロ)」で、二番目は「ソフトバンク」ですが、両社ともに1989年にはありませんでした。簡単に言えば、「日経平均株価」には、25年の月日を経ての連続性がありません。38,960円と20,000円を比較したり、38,960円を目安にすることはやめましょう。
代わる指標として「株式時価総額」を観てみます。現在の東証株式時価総額は575兆円ほどです。
バブル期の1989年末に611兆円の最高値です。バブル崩壊の1992年夏に270兆円まで下落しています。その後も上がったり下がったりしていますが、リーマンショック後の2009年2月末は250兆円、第2次安倍政権設立前の2012年11月末は275兆円でした。
こちらを簡単に言えば、アベノミクス効果もあって2年半の短期間で2倍以上になり、バブル期の規模にほぼ近づいています。「株式時価総額」からは、もう半分の通過点とは思えず、そろそろ天井かな?とも思えます。
ついでなので、PBR(「株価純資産倍率」)を検討してみます。株価が高くなっても、それに見合った純資産があれば問題はないわけです。現在の日本株式のPBRは、約1.5倍です。会社が利益を出す以上、PBRは1を超えているのが当然です。海外では、米国が約2.8倍、欧州で約2.0倍、新興経済国の平均が日本と同じ約1.5倍という水準です。この指標からみれば、まだまだ日本株は割安のようにも見えます。
いずれにせよ株価の先行きは誰にも判りませんので、無理な投資をしないことです。